自社が長年に渡り行ってきた気候科学への反対運動の内幕を報じた大学をエクソンモービル社が恫喝

  米環境系メディア「インサイド・クライメート・ニュース」によるエクソンモービル社の長年に渡る気候変動対策への妨害工作に関する特集記事についての記事を書きましたが、インサイド・クライメート・ニュースに続いて、ロサンゼルスタイムズ紙もエクソンモービル社の気候変動に対する表向きの態度と内部での動きの矛盾について詳細を報じていました。   その一連の記事は、ロサンゼルスタイムズ紙とコロンビア大学のジ…

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【独り言】COP21での海面上昇に関する先進国のスタンスが解せない

COP21が開催されている会場の外で気温上昇の目標を1.5℃未満にするよう訴える人々Credit: The Hindu   「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」も後半に入り、合意文書の内容もページ数が短くなってきました。ある程度の法的拘束力を持った合意がなされるであろうという楽観的なムードが漂っています。   でも、開催初日に後発開発途上国が相次いで表明した危機感が反映さ…

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エクソンモービル社とコーク産業による気候変動否定派ネットワークの構築と世論及び政界への影響

  石油大手エクソンモービル社が1960年代から70年代に地球温暖化の深刻さを知りながら、気候科学の不確かさを誇張するキャンペーンの展開によって気候変動対策を妨害してきた歴史について記事を書きましたが、先日、どのようにしてエクソンモービル社を始めとする化石燃料産業が世論と政界に影響を与えてきたのかを明らかにする研究結果が発表されました。   執筆者である米エール大学のジャスティン・ファレル氏は…

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温暖化の深刻さを知りながら排出規制を妨害し続けたエクソンモービル社の罪

  米政府が初めて気候科学者から地球温暖化の深刻さを警告されてから50年が経ちました。結果だけを見ればほぼ気候変動対策を講じることなくここまできてしまいましたが、その間米政府や米議会は何もしようとせずに過ごしてきたわけではありません。   気候変動対策として二酸化炭素排出量を規制されては困る世界で最も裕福な石油産業界が、その富を利用して気候変動対策を停滞させてきました。   ピューリッツァー…

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米政府はいつから温暖化の深刻さを知っていたのか

  1992年にUNFCCC(国連気候変動枠組条約)が設立し、1997年に京都議定書が採択され、気候変動、地球温暖化に対する国際的な認識は高まっていきましたが、一般の人たちに地球温暖化という言葉が広く知られるようになったのは、アル・ゴア元米副大統領とIPCCがアカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画、「The Inconvenient Truth(不都合な真実)」が2006年に上映された後から…

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バードストライクが最も多いのは石炭火力発電

  テキサス州を始め、世界中で導入が著しく伸びている風力発電ですが、「バードストライク(鳥の衝突)」によって多くの鳥が死ぬからという理由で反対する人が少なくありません。   ここで湧いてくる疑問は、「他の電力はどうなのか?」です。太陽光や石油、ガス、石炭、そして核(原子力)発電は、風力発電と比較して鳥の命を奪わないのでしょうか?   調べてみると、U.S. News & World …

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【COP21】ロス&ダメージ(損失と被害)で隔たる先進国と途上国

  各国首脳によるスピーチなどの話題性のある大きなイベントが終わり、「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」は地味な交渉期間に入りました。   歴代のCOPに参加しているある国の代表は、気候変動会議の交渉について「悪者が登場して何もかもを壊していこうとするが、ギリギリのところで参加国が力を合わせてそれを阻止し、合意に持ち込むのが通常のパターン」と話すほど、交渉が順調に進んだこと…

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地球温暖化「ハイエタス」は本当か?

  地球温暖化の「ハイエタス」について記事を書きましたが、近年はこの「ハイエタス」に関する研究結果が相次いで発表されるようになりました。   主な研究結果では、太平洋や大西洋の海水が熱を取り込んだため、気温上昇が鈍化しているとするものや、統計学的に見れば「ハイエタス」と呼べるような気温上昇の停滞は存在しないとするもの、短期的な変動は過去にも起こっており、「ハイエタス」と呼ばれているものはよくあ…

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【独り言】COP21に対する期待と諦め

  2009年にデンマークのコペンハーゲンで開催された「国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)」は、開催地の名称(Copenhagen)から、「"Hope"nhagen」と呼ばれました。アメリカでは、"Hope"と"Yes, we can"をキャッチフレーズにして新しいリーダーになったオバマ大統領が現地入りし、京都議定書に続く新たな枠組の合意に大きな期待が寄せられました。   そ…

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【COP21】開催初日の感想など

  いよいよパリで「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」が始まり、開催初日は各国首脳によるスピーチや、新たなプロジェクトの発表などが行われました。   いくつか印象に残った出来事を書き連ねてみようと思います。 ◆ 官民共同のクリーンエネルギー研究開発プロジェクトの立ち上げ  初日の話題をさらっていったのは、米オバマ大統領や米マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏らによる、官…

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気温上昇を2℃以内に抑える条件

注)この記事は訂正/編集されています。   フランスのパリで「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」が始まりました。これから2週間、活発な議論が交わされる中で、ニュースメディア等で「2℃」という言葉が頻繁に出てくると思います。   以前になぜ気温上昇を2℃以内に抑えなければならないのか、気温が2℃上昇するとどうなるのかについての記事を書きましたが、今回は2100年までの気温上…

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