北極の温暖化と中緯度地域における極端な気象現象の関係

  近年は、アメリカ北東部や日本などの中緯度地域が、冬の嵐をもたらす大寒波に見舞われるようになりました。今回の冬も、米北東部にはすでに二度の寒波が襲来していますし、日本も九州南部で積雪が観測されています。   『【よくある間違い】寒波や大雪は温暖化していない証拠』で述べた通り、これは寒冷化しているから起こっているのではなく、逆に温暖化が進むことによってこのような気象現象が起こりやすくなっている…

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2℃未満を達成するには二酸化炭素排出量を従来の半分に抑えなければならないという研究結果

          Credit: Chris/flickr   世界が気候変動による壊滅的な被害を避けるために2100年までの気温上昇を2℃未満に抑えるには、二酸化炭素排出量をこれまで考えられてきた半分に抑える必要があるという研究結果が、科学誌「ネイチャー・クライメートチェンジ」に掲載されました。   以前に書いた記事では、2100年までの気温上昇を2℃未満に抑えるための二酸化炭素排出量の…

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気候変動対策をすればアメリカは29万5千人の早期死亡を防ぎ、132兆円の経済的利益に繋がるという研究結果

          Credit: FreeImages.com/Steve Ralston   2015年に国際的合意に至った「パリ協定」で定めた目標を達成するために野心的な気候変動対策を実施すれば、アメリカは29万5千人の早期死亡の予防と、最大で1兆2千億ドル(約132兆円)の経済的利益に繋がるという研究結果が、科学誌「ネイチャー・クライメートチェンジ」に掲載されました。   米デューク…

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20年に一度の熱波が2075年には毎年起こるようになるという研究結果

     Credit: Charlie & Melody Wambeke   このまま気候変動対策をとらずにいると、現在20年に一度の確率で起こる熱波が、2075年には世界の半分以上の場所で毎年起こるようになるという研究結果が科学誌「クライマティック・チェンジ」に掲載されました。また、同研究では、未来に起こる熱波は現在よりもさらに激しいものになると指摘しています。   研究の執筆者…

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気候変動を信じるかどうかを決めるのは科学的事実などではなく、「政治的な立ち位置」という研究結果

  56ヶ国にまたがる25の世論調査と171に及ぶ学術研究のメタ分析をしたところ、気候変動を信じるかどうかを決定する最も大きな要素は、科学的根拠などの事実ではなく、所属(支持)政党や世界観、価値観であるという研究結果がネイチャー・クライメートチェンジに掲載されました。   研究によると、今回のメタ分析で大きな発見がふたつあったとしています。ひとつは、年齢や性別、収入、主観的知識、教育レベル、極…

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20世紀の海面上昇のペースが過去2800年で最速に  温暖化が主な原因

  海面上昇が過去2800年で最速のペースで進んでおり、20世紀の海面上昇の半分以上が人為的地球温暖化によるものであった確率が95%以上という研究結果が、米科学誌「米国科学アカデミー紀要」に発表されました。また、同研究は2100年までに最大で131センチメートル海面が上昇する可能性があると指摘しています。   研究チームは、世界24ヶ所の珊瑚礁や湿地帯、フィヨルドなどから、過去3000年にわた…

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100人以上の科学者が米国地球物理学連合にエクソンモービル社とのスポンサー契約解除を要求  同社の気候変動否定論への関与が原因

  会員を含む100人以上の気候科学者や地球科学者が、連名で米国地球物理学連合(AGU: American Geophysical Union)の会長宛に、同連合が秋に開催するミーティングのスポンサーになっているエクソンモービル社との契約を解除するように求める文書を送付しました。   「地球温暖化の父」と呼ばれ気候変動問題では最も有名なジェームズ・ハンセン氏や、「ホッケースティック」で有名…

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鉛に汚染されている水に最も高い水道代を払わされている米ミシガン州フリント市民

  水道水への鉛混入を知りながら、州政府と連邦政府が1年以上にわたり放置したために健康問題に発展している米ミシガン州フリントの市民が、アメリカで最も高い水道料金を支払っていることが環境保護団体「Food & Water Watch」の調査で判明しました。 フリントとアメリカの私有企業、自治体、米主要都市の年間の平均水道料金の比較Credit: Washington Post   上の…

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40億人が1年のうち最低でも1ヶ月間は深刻な水不足を経験

  世界の人口の約3分の2にあたる40億人が、1年のうち最低でも1ヶ月間は深刻な水不足(水の消費量が降水量の2倍)に見舞われており、これまでの推定よりも状況が悪化しているという研究結果が、サイエンス・アドバンス誌に発表されました。また、同研究は約5億人が1年を通じて深刻な水不足に陥っていると指摘しています。 1996年から2005年の間に、1年のうち何ヶ月間深刻な水不足(水の消費量が降水量の2…

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米本土で初の気候難民 ~ ルイジアナ州の小さな島に住む先住民が海面上昇によって移住を余儀なくされる

  米ルイジアナ州のメキシコ湾に浮かぶ小さな島の先住民が、海面上昇による浸食が原因で島に住み続けることが困難になり、内陸部に住民全員で移住することが決まりました。彼らは、米本土で初の「気候難民」になります。 Credit: Stacy Kranitz   ルイジアナ州のニューオーリンズから約130km離れたメキシコ湾の湿地帯にある「Isle de Jean Charles」と呼ばれる島で暮ら…

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米海洋大気局も2016年1月の世界平均気温は観測史上最高と発表

  米航空宇宙局(NASA)と日本の気象庁の速報値で2016年1月世界平均気温が観測史上最高を記録したという記事を書きましたが、米海洋大気局(NOAA)のデータでも観測史上最も暖かい1月でした。 2016年1月の世界平均気温の偏差値図(基準は1981年から2010年。単位は℃)Credit: NOAA   2016年1月の世界平均気温は、20世紀の平均気温を1.04℃上回り、137年の観…

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2016年1月の世界平均気温が観測史上最高を記録 NASAと気象庁

  2015年が観測史上最も暑い年になったのはまだ記憶に新しいところですが、米航空宇宙局(NASA)と日本の気象庁によると、2016年1月の世界平均気温は、同月としては観測史上最高を記録し、引き続き地球温暖化とエルニーニョの影響で世界は記録的な暖かさになっています。 細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2…

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エルニーニョ現象の勢力が弱まる

  前回のアップデートから約1ヶ月が過ぎ、史上最強規模まで成長したエルニーニョ現象は、以前の予想よりも緩やかであるものの、引き続き勢力を弱めています。 2015年11月25日から2016年2月10日までの赤道太平洋付近における海面温度の平均偏差(℃)Credit: NOAA   前回のアップデート時(1月13日)よりも、ペルー沖の海水温が通常へと戻り始めている様子がわかります。これは、次のグ…

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2015年に大規模な干ばつなどの自然災害による影響を受けた人は約1億人  国連機関報告

  2015年に大規模な干ばつや熱波、洪水など、気象や気候関連の自然災害の影響を受けた人は世界で9,860万人にのぼるという分析結果が、国連国際防災戦略(UNISDR)から報告されました。   レポートによると、観測史上最も暑い年だった2015年は、気候変動とエルニーニョの影響で世界各地で大規模な干ばつが32件報告され、5千万人を超える人たちが影響を受けました。この32件という数字は、直近10…

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大気汚染で年間に550万人が早死に  半分以上が中国とインド

              Credit: FreeImages.com/Mia P     米首都ワシントンD.C.で開催された米科学振興協会(AAAS)の年次総会で、2013年に大気汚染が原因で早死にした人は世界中で550万人以上にのぼり、そのうちの半分以上である約300万人を中国とインドが占めていると報告されました。   ブリティッシュ・コロンビア大学のマイケル・ブラウアー氏によると、…

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陸地がより多くの水を蓄えたことで海面上昇の速度が緩和

  2002年から2014年の間に、海洋からより多くの水分が蒸発して陸地へ循環し、土壌や湖、地下水脈などに蓄えられたことによって海面上昇の速度を緩和していたという研究結果を、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所とカリフォルニア大学アーバイン校の共同チームがサイエンス誌に発表しました。   IPCC報告書の海面上昇に関するセクションやこれまでの研究では、海面上昇は陸地の氷床と氷河の融解によ…

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米オクラホマ州で地震が激増  フラッキングが原因

  シェールガス/シェールオイルを採掘する方法であるフラッキング(水圧破砕法)の仕組みとその問題点については以前に記事にしました。   その記事内でも挙げましたが、近年オクラホマ州などで激増している地震の原因は、フラッキングを行った油井に注入する、フラッキングに使用した廃液にあるという研究結果が相次いでいます。   しかし、オクラホマ州や同じくフラッキングが原因と言われる地震が増えているテキ…

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オバマ政権が1バレルにつき10ドルの新たな石油税を予算教書で提案  共和党は反発、経済専門家は歓迎

                    Credit: Matthew Rutledge   米連邦最高裁から、石炭火力発電所からの二酸化炭素排出量を削減する「クリーン・パワー・プラン」の一時差し止めの判断を受けたオバマ政権ですが、2月9日に米議会に提出した「予算教書」で、新たな気候変動対策として同月4日に発表していた、石油会社に国産、輸入の別を問わず1バレルあたり10ドルの石油税を課し、それ…

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米最高裁がオバマ政権による石炭火力発電所からの二酸化炭素排出規制を一時差し止め

  米オバマ政権が2015年8月に発表した、主に石炭火力発電所からの二酸化炭素排出量を2030年までに2005年比で32%削減する「クリーン・パワー・プラン」が、米連邦最高裁の判事が5対4で一時差し止めを決定しました。   この規制は、1年間に全体の3分の1を占める石炭火力発電からの二酸化炭素排出量を削減し、再生可能エネルギーへの転換を促進させる目的で、2015年に国際合意を果たした「パリ…

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1万年後は、今よりも気温が7℃高く、海面は52メートル上昇するという研究結果

  今後数十年の気候変動対策次第では、最悪の場合、1万年後の世界は現在よりも気温が7℃高くなり、それに伴い海面が52メートル上昇するという研究結果が、ネイチャー・クライメートチェンジ誌に掲載されました。   これまでに発表された気候変動関連の研究は、2100年の気温や海面、降水量などについてのものが多く、もっと長期に及ぶシミュレーションがなされていなかったため(研究者によると、それはコンピュー…

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