1850年以降の気温と二酸化炭素濃度&炭素収支の変化をスパイラルGIFアニメーションで見てみましょう

  約3ヶ月前に英レディング大学のエド・ホウキンス氏が作成した世界平均気温のスパイラルGIFアニメーショングラフは、折れ線グラフや棒グラフで気温の変化を視覚化していたこれまでの常識を覆すビジュアライゼーション方法で、多くの気候科学者たちが衝撃を受けました。   もう一度ここで振り返ってみましょう。 英気象庁HadCRUT4.4による世界平均気温の偏差(基準年は1850年~1900年)Cred…

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異常気象などの気候関連災害が紛争発生のリスクを高めるという研究結果

                    Credit: Shiny Things/flickr   世界で起こっている紛争や戦争と気候変動との関連性について、ここ数年活発に研究が行われています。このブログでも取り上げましたが、シリアで2011年から続いている内戦は、気候変動が原因の一部となっている過去900年間で最悪の干ばつがきっかけになったという研究結果も発表されています。   しかし、こ…

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極端な自然変動によって南極半島の温暖化が停止しているという研究結果

  気候変動による気温上昇に伴って海氷とグリーンランドの氷床が減少傾向にある北極に対し、海に囲まれ、強風によって隔離されているために人間活動の影響が届きにくい南極大陸ですが、人間の生活域に最も近い南極半島は、1951年以降気温が3℃上昇する地域もあり、ラーセンAとラーセンB棚氷が崩壊、ペンギンが絶滅の危機に陥るなど、地球温暖化の象徴のように取り上げられてきました。   南極全体に目を移すと、氷…

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「ヒートドーム」が原因で米本土の広い範囲と中東に記録的な熱波

  金曜日(2016年7月22日)から、アメリカ本土は記録的な熱波に見舞われています。金曜日に気温が32.2℃(華氏90度)を超えなかった州は、米北西部のワシントン州だけという暑さでした(ワシントン州シアトルは21℃を少し超えたくらいだったとか)。 Credit: NOAA   上の地図は、7月23日(土)の米本土の予想体感最高気温を表示しています(華氏100度は37.8℃)。アリゾナ州フェ…

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【独り言】ポケモンGOと自然とのふれあいと環境差別

  アメリカではいち早く配信が開始されていたポケモンGOがついに日本でも配信され、ニュースやSNSはポケモンGOに埋め尽くされているという印象を受けます。   ポケモンGO配信開始以来、アメリカでは近所でポケモンではなく死体を発見する人は出るわ、崖から落ちる人はいるわ、強盗に待ち伏せされて身ぐるみ引っぺがされる人が出るわと、ゲーム開発者からすればまったく想定外なことが起こって話題になってい…

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熱波による死者のうち、人為的気候変動が原因の人数を特定したという研究結果

  近年、異常気象と気候変動の関連性については、コンピュータの進化に伴って気候変動の寄与をより明確にできるようになってきており、温暖化が一部の極端な気象現象の激化・増加に寄与しているという研究結果も発表されています。   熱波は、寒波と並んで気候変動との関連性が最も高い極端な気象現象のひとつで、これまで熱波と健康の関連性、熱波が人を死に至らしめる原因になっているという研究結果は発表されてきまし…

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【NASA気候科学者】2016年前半はとてつもない暑さ&エルニーニョなしでも過去最高&今年が最も暑い年になる確率は99%

  日本の気象庁、米海洋大気局(NOAA)、米航空宇宙局(NASA)による6月の世界平均気温が出揃い、すべての気象機関のデータは、世界が観測開始以来最も暑い6月、そして最も暑い上半期(1月から6月)を経験したことを示しました。この3つの気象機関の2016年1月から6月までの気温データ(合計18ヶ月)で各月の過去最高を記録しなかったのは、日本の気象庁による5月の世界平均気温のみで、それも前年を0.…

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【NASA】2016年6月の世界平均気温は過去最高  9ヶ月連続で記録を更新

  日本の気象庁と米海洋大気局(NOAA)の観測データでは、2016年6月は共に観測史上最高の世界平均気温を記録しました。気象庁の発表では過去14ヶ月中13ヶ月、NOAAのデータでは14ヶ月連続で世界の平均気温が観測史上最高を更新しています。   3月から5月にかけて過去最高を更新しながらも平均気温が著しく下降したため、6月は記録を破らないのではないかとも言われていましたが、NOAAと同日に発…

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【NOAA】2016年6月の世界平均気温は観測史上最高  14ヶ月連続で過去最高を更新

  米海洋大気局(NOAA)は2016年6月の世界平均気温が観測史上最高を記録し、最も暖かい6月になったと発表しました。これで世界の平均気温は2015年5月から14ヶ月連続で各月の観測史上最高記録を更新しています。また、今年1月から6月までは、観測開始以来最も異常に暖かい6ヶ月になりました。 2016年6月の世界平均気温の偏差(基準は20世紀)。単位は左側が摂氏、右側が華氏Credit: NO…

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気候変動が原因で雲の発生地域と高さに変化  気温上昇を加速か

  気候変動の科学の中で、最も不確実性が高い分野のひとつといわれているのが、温暖化に対する雲の役割です。雲は、地球に入ってくる太陽エネルギーを宇宙へ反射して気温上昇を防ぐ反面、地球から宇宙へ放射される熱を閉じ込めて地表の温度を上昇させる役割を果たしています。そして、雲が発生する地域や高度によって、温暖化を促進するのか(正のフィードバック)、抑制するのか(負のフィードバック)が決まります。   …

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【気象庁】 6月の世界平均気温は昨年と並び観測史上最高

  気象庁の発表によると、2016年6月の世界平均気温は、昨年同月と並んで1891年の観測開始以来最高を記録しました。 細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。Credit: 気象庁   6月の世界平均気温の偏差(基準年: 1981年~2010年)は+0.41℃と、同月としては昨年…

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ラニーニャ現象発生は秋以降か 勢力は弱め

  史上最強レベルまで強くなり、世界各地、特に開発途上国に大きな打撃を与えたエルニーニョ現象が終息し、緩やかにエルニーニョとは逆の現象であるラニーニャへの移行が続いています。ラニーニャは早ければ夏に始まるといわれていましたが、予想よりもニーニョ3.4海域(北緯5度から南緯5度と西経170度から同120度)の海水温低下が遅くなっており、ラニーニャ現象は秋以降に発生する可能性が高くなってきました。 …

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2016年6月も北極の海氷が史上最小面積を更新

  米国立雪氷データセンター(NSIDC)の発表によると、2016年6月の北極の海氷面積が観測史上最小を記録しました。これによって、2016年に入ってから3月を除くすべての月で海氷面積が最小記録を更新したことになります。 1979年から2016年までの北極における6月の平均海氷面積(単位: 百万平方キロメートル)Credit: NSIDC   上の地図は、衛星による海氷面積の測定が開始された…

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2016年6月の米本土は観測史上最高の暑さを記録

  2016年に入ってから、各月の世界平均気温はほぼ過去最高を更新(日本の気象庁の観測データでは5月が観測史上2番目)してきましたが、米本土では1月が122年の観測史上34番目、2月が同7番目、3月は4番目、4月が18番目、5月は涼しくて同62番目と、世界と比較すると突出した暖かさではありませんでした。米海洋大気局(NOAA)の発表によると、これまでの涼しさから一転して、6月は20世紀の平均気温…

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貧困国ほど極端に暑い日が増加するという研究結果

  世界の累積二酸化炭素排出量が増加すると平均気温が上昇するという研究結果や、平均気温が上昇すると特定の地域で極端に暑い日が増えるという研究結果はこれまでにも発表されてきましたが、世界の累積二酸化炭素の上昇と特定地域における極端に暑い日の増加に直接的な関連性があるかどうかについての研究結果はありませんでした。   今回、英イースト・アングリア大学が率いる研究チームが、初めて累積二酸化炭素排出量…

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