地球温暖化のサインについての記事の中で、平均気温の上昇に伴って、海氷面積が減少することに触れました。
毎年、9月初旬から中旬にかけて、夏の北極の海氷は最小面積になります。今年は、9月11日に最小面積を記録しました。
Credit: NOAA
2015年の最小面積は、観測史上4番目に小さくなりました。史上3番目の最小面積だった2011年、史上2番目に小さかった2007年に迫るくらい、今夏は北極の海氷がとけたことになります。
Credit: National Snow and Ice Data Center
観測史上最小面積になった2012年と比較して「海氷が戻ってきている」と主張する人もいますが、上図のように、長期的に見ると減少傾向が続いています。また、北極の観測史上最小の海氷面積のトップ10が、直近11年の間(2005年以降)に起こっています。
また、上図の海氷の年齢に注目すると、2年以上とけることなく残っている海氷の割合が減少し、1年未満の海氷の割合が増加していることがわかります。氷の年齢が高いほど厚さが増すため、その分、夏の気温が高くなってもとけにくくなるのですが、このように複数年以上とけずに残っている氷の面積が減少すると、気温の影響を受けてとけやすくなり、海洋表面の面積が増えることでさらに気温上昇を招くスパイラルに陥ってしまいます。
近年発表されている研究結果では、遅くとも2050年くらいには、夏の北極海から海氷がなくなってしまうそうです。そして、それを止めるのはほぼ不可能だといわれています。北極の海氷の減少が、中緯度地域でここ数年起こっている極端な気象(熱波や寒波、豪雨、豪雪など)の原因になっているという研究結果も相次いで発表されるなど、その影響は北極圏だけに留まらないため、迅速な気候変動対策が必要です。
【参照】
Arctic sea ice reaches fourth lowest minimum|National Snow and Ice Data Center
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