米海洋大気局は、米本土48州の気温と降水量など、気候の状態のレポートを毎月公表しています。レポートは、1895年以降の気温(平均、最高、最低)と降水量を米本土全体、9つの地域、48州、郡の単位で、それぞれの記録が平年と比較してどうなのか、観測史上何番目になるのかを報告しています。
また、ウェブ上で年や月、州や地域、主な都市を指定して、過去から現在までの気温や降水量の変化をグラフにして見ることも可能です。細かい指定や、複数の地域の比較や、気温と降水量の変化をひとつのグラフに表示することはできませんが、ちまちまとエクセルやプログラミングソフトウェアでコードを書いてグラフにする手間が省けて便利です。
さて、9月のアメリカ本土48州は、1895年以降、121年の観測史上で2番目に高い平均気温を記録しました。8月が観測史上31番目、7月が同56番目に暖かかったのと比較すると、ここにきて急に暖かくなってきたことになります。
また、今年に入ってからこれまでほぼずっと観測史上最高の月別平均気温を記録してきた、カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ネバダの各州の気温が意外に高くないこと、特にオレゴンとワシントンの2州は極端に涼しくなってきているようです。それに対し、米南西部(ニューメキシコ、コロラド、ユタ)から中西部(ミネソタ、イリノイ、ミシガン)にかけて、これまで比較的暑くなかった州が観測史上最も暖かい9月になりました。
次に、今年に入ってから9月までの9ヶ月間の平均気温に、これまでの傾向を見て取ることができます。米西部と北西部の4州(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、ネバダ)が依然として観測史上最高に暖かい9ヶ月となっており、9月は観測史上最高を記録した中西部は、平年より少し暖かいか平年並みになっています。
観測史上8番目に暖かい9月を経験したここテキサス州も、1月から9月までの9ヶ月間の平均気温を見ると観測史上45番目でほぼ平年並みの気温となっています。
米西部カリフォルニア州の4年にも及ぶ深刻な干ばつは、気候変動による温暖化が原因の一部になっているといわれています。平均気温が高くなるとより多くの水分が蒸発してしまうため、乾燥が進み、乾燥することによってさらに気温が高くなってしまうという悪循環になってしまいます。
上の地図を見てもらえば、「地球温暖化」と呼ばれる理由の一端を感じ取ることができるのではないでしょうか。米西部と北西部は記録的な暖かさになっているのに、南部から中西部、北東部は平年並みかそれより涼しい気候が続いています。ですが、世界的に見た場合、アメリカ中西部から北東部にかけての涼しい気候は、とても珍しいことなのです。
このように、地球温暖化というのは、地球全体の平均気温が上昇傾向にあることを指します。地域によっては、平年並みであったり、平年よりも涼しかったりもするのです。
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