2015年8月の世界の気候レポート

  米の2015年9月の気候レポートの記事で、9月は若干涼しくなったものの、アメリカの西部と北西部が観測史上最も暖かい1月から9月を記録している反面で、東部や中西部、北東部は平均すると涼しい気候になっていると書きましたが、世界的に見るとどうなのでしょうか。
  米本土48州と同じく、NOAA(米海洋大気局)による8月の世界の気候レポートで確認してみましょう(9月のレポートは未発表。発表され次第追記か更新します)。

201508 Land & Ocean Temp Percentiles.jpg

  まず、2015年8月の世界の陸海表面の平均温度は、観測史上最高を記録しました。これまでのどの年の8月にも追随を許さないぶっちぎりの観測史上最高記録でした。8月の地表の平均気温は、史上最も強かったエルニーニョ現象が起こった1998年の記録を0.13℃上回る最高記録で、今年のエルニーニョの強さと、平均気温の上昇の相乗効果だと思われます。地図上の濃い赤色の部分は、観測史上最高の平均気温を記録した地域です。

201501-201508 Land & Ocean Temp Percentiles.jpg

  次に、2015年1月から8月までの世界の陸海表面の平均温度ですが、今年に入ってからほぼ毎月ずっと観測史上最高かそれに近い平均気温を記録してきたこともあり、こちらも観測史上最高を記録しました。2010年の記録を0.1℃も上回りました。

201501-201508 Global Temp with five warmest years on record.jpg

  上のグラフを見ればわかる通り、1月から8月まで、これまで最も暖かかった5年分の記録と比較しても、今年の平均気温の高さは異常です。このまま2015年が観測史上最も暖かい年になる確率は97%と言われています。

  進行する地球温暖化と、過去最大級のエルニーニョ現象の組み合わせでこのように異常な暖かさが続いていますが、良くないニュースは、そのエルニーニョの勢力が強くなるばかりで、来年の春までは終わりそうにないため、今年記録するであろう過去最高の平均気温を、来年はさらに上回るくらい暖かくなるかもしれないということです。

  アメリカにとって、特に深刻な干ばつが続いているカリフォルニア州にとっての良いニュースは、このまま冬までエルニーニョが続けば、まとまった降水量が期待できるため、進行中の干ばつが少し緩和されるであろうことくらいです。カリフォルニアにとっての悪いニュースは、それで干ばつが終わりを告げることにはならず、その後も長期に渡る干ばつが続くと予想されていることです。

  上の1月から8月までの世界の陸海表面の平均温度の地図上で、グリーンランドの南の北大西洋に1ヶ所だけ青い部分があります。この地域だけが、観測史上最も平均気温が低くなっているのですが、その現象が気候科学者を少し心配させています。

  何が原因でそうなっているのか、なぜ北大西洋のこの地域の平均気温が低くなることが心配なのかは、また別の記事で説明したいと思います。

【参照】
State of the Climate: Global Analysis for August 2015|NOAA National Centers for Environmental Information

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