日本人の気候変動に関する意識

  人為的地球温暖化に対する気候科学者と米一般市民の認識度の違いについての記事で、90%以上という高いレベルで合意に達している気候科学者に対し、地球温暖化の原因が人間活動にあると答えた一般市民は約50%に過ぎませんでした。

  では、日本人の気候変動に対する意識はどうなのでしょうか?

  アメリカでは、ギャラップやピューリサーチなどの大手調査会社が定期的に世論調査を行っているほか、大学や各メディアなども独自に気候変動に関する世論調査を実施・公開しているのですが、気候変動に関する日本の世論調査の情報が少なく、長期的な傾向などを把握するのは大変難しいです。

  数少ない情報の中から、みずほ情報総研株式会社が東京、ニューヨーク、ロンドン、上海、ムンバイの人を対象に2014年10月に行った世論調査によると、「地球温暖化が起きているのは科学的な事実である」と答えた日本人(東京の人)は78%、 「地球温暖化は人類の活動によって引き起こされている」と答えた日本人は82%と高い割合でしたが、いずれの数字も他の4都市に比較すると低く、インドのムンバイが最も高く、それぞれ88%、92%でした。
  しかし、「地球温暖化の影響がいつ頃現れるか」という問いに対しては、「既に現れている」と答えた日本人が73%と最も高い数字を示しました。
  「地球温暖化の影響に対する備えについて考えているか」と問いには、「考えている」と答えた日本人は30%と最も低く、ニューヨークの54%、ロンドンの48%、上海の55%、ムンバイの81%を大きく下回る結果になりました。

  また、環境省が2014年12月に行ったウェブアンケートでは、91%が「気候変動の影響がすでに現れている」と答えており、その要因として夏の猛暑と暖冬、極端な豪雨の増加などが高い数値を示しており、気候変動の影響が最も現れている若しくはこれから現れると思われる分野としては、農業や水産業が高い数字になっています。

  これらの結果を見る限りでは、気候変動に対する関心度は決して低くないように感じるのですが、欧米と比較すると気候変動に関する情報に乏しいのは、メディアから流れる情報量が少ないからなのでしょうか。

  みずほ情報総研株式会社の2013年の世論調査では、大半の人が気候変動に関する情報をテレビ、新聞、インターネットから得ており、信頼できる情報源として、研究者や気象予報士と天気キャスターを挙げています。

  今後、信頼度の高い情報源を介して、気候変動の科学や倫理・公正に関する情報提供を続けることが、気候変動問題の認知度を高め、個人からローカルコミュニティ、各レベルの政府から国際組織による速やかな行動に繋がっていくのではないでしょうか。

にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック