エルニーニョが終わらない

  今年は、「エルニーニョ現象」という言葉を耳にする機会が多いと思いますが、これはエルニーニョ・南方振動(ENSO:エンソ)と呼ばれる、インドネシア付近と南太平洋の大気と赤道太平洋の海洋が連動して起こす一連のシーソーのような動きの片割れで、3年から7年に一度、太平洋の熱帯域に吹いている貿易風が弱まり、太平洋西部の温かい海水が東部へ広がることにより、ペルー沖の海水温が高くなるエルニーニョと呼ばれる現象が起こります(すごくはしょっています)。メカニズムは解明されてきていますが、なぜ起こるのか、なぜ強くなる時とならない時があるのかなどは不明です。なぜか起こって、強くならずに終わったり、弱いまま終わるのかと思っていたらいきなり強くなったりする謎の現象、エルニーニョ。エルニーニョ現象が終わると、その後には「ラニーニャ」と呼ばれる、エルニーニョと全く逆の特徴を示す現象が起こります。

  どうでもいいことかもしれませんが、「エルニーニョ」はスペイン語で「男の子」、「ラニーニャ」は同じくスペイン語で「女の子」という意味です。ふたつの現象が世界中で起こす異常気象による被害を考えると、そんなかわいいもんちゃうやん、ゴジラとガメラやんか、というのが正直な感想です。

  さて、話を戻して、今回のエルニーニョは、当初強くなると言われていたのに強くならないままダラダラと小康状態が続き、もうこのまま終息するのかもねと言っていたら強くなり始め、今では1997年から98年にかけてのエルニーニョに匹敵する強さにまで発達し、いったいいつ終わんねんというくらい長続きしそうな気配を見せています。

EL Nino 1997vs2015-animated-485.gif
Credit: NASA

  今回のエルニーニョが、世界各地で大きな被害を出した1997年から1998年にかけてのものと比較してどれくらい強いかは、上のGIFアニメを見ればわかっていただけるのではないでしょうか(動けば、ですが)。

El Nino typical effects 2015-10-18.jpg
Credit: 気象庁

  上の図は、エルニーニョ現象発生時の12月から2月までの、北半球の冬の天候の特徴です。日本では、東日本から西日本にかけて暖冬になることが多く、アメリカでは、西部から北西部にかけて暖冬になり、干ばつが続くカリフォルニア州では、冬のまとまった降水量が期待されています。米南部や南東部は寒くて降水量の多い冬になる見込みです。
  世界の広い範囲で高気温になるため、今年と来年の世界平均気温が記録的なものになると予測されています(今年は97%以上の確率で、昨年の記録を破り観測史上最高の平均気温になると予測されており、来年はもしかするとそれを上回るかもしれないと言われています)。ろくなもんじゃありません。

  ところで、この「ゴジラ・エルニーニョ」と呼ばれている今回のスーパーエルニーニョはいったいいつ終わるのでしょうか?

El Nino Predictability 2015 Mid October.jpg
Credit: IRI/CPC

  米国際研究機関と米気象予報センターは2015年10月15日付で、97%の確率で今回のエルニーニョ現象が2016年の春まで続くと予想しています。

  どうやら今年は、普通じゃない冬を経験することになりそうです。

【参照】
ENSO resources|International Research Institute at Columbia University

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