NOAA(米海洋大気局)の発表によると、世界の9月の平均気温は観測史上最高を記録しました。
Credit: NOAA
これで、今年に入ってから9ヶ月のうち観測史上2番目に暖かかった1月と、観測史上3番目に暖かかった4月を除くすべての月が観測史上最高の平均気温を記録したことになります。
また、年初からの9ヶ月間も、2010年と2014年の記録を0.12℃上回り観測史上最高となりました。
Credit: NOAA
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今回のエルニーニョ現象が、史上最も強かった1997年から98年にかけてのものと匹敵するレベルに達する可能性があり、まだ発達中であることが原因のひとつであるのは間違いありません。
では、今年はエルニーニョの年だから特別に暑いのかというと、それだけでここまで暑くなるとは考えられません。気候変動による気温上昇の影響も受けており、それにエルニーニョが加わった結果、昨年の記録を大きく上回る結果になっていると考えられます。
Credit: NASA
上のグラフは、すべての年(棒グラフのグレー部分/黒のトレンドライン)、エルニーニョ現象が起こった年(棒グラフの赤い部分/赤のトレンドライン)、ラニーニャ現象が起こった年(棒グラフの青い部分/青のトレンドライン)の平均気温を1951年から1980年の平均気温と比較した偏差を表したものです。これを見ると、通常よりも暖かくなるエルニーニョの年も、通常よりも涼しくなるラニーニャの年も、通常の年と同じように平均気温が上昇傾向にあることがわかります。つまり、今年の異常な暖かさは、気候変動による平均気温の上昇に、史上最大級のエルニーニョの影響を受けた結果と言うことができます。
今回のNOAAのレポートで他に特筆すべき点としては、以前にも記事にしましたが、グリーンランド南側の北大西洋の海洋表面の気温が依然として低いままで、引き続き注意して見守る必要があると思います。
世界の平均気温は記録的な高さになっていますが、スペインの9月は1996年以来の涼しい9月になったそうです。また、イギリスでは、イングランドとウェールズで1994年以来の涼しい9月になりました。一方で、カナダのオンタリオでは平均気温よりも5℃高くなった地域があったそうです。
気候変動による平均気温の上昇傾向が続いている上に、最大級クラスのエルニーニョ現象が加わってしまった2015年の世界平均気温が、昨年を上回って観測史上最高を記録するのはほぼ間違いないでしょう。
【参照】
State of the Climate: Global Analysis for September 2015|NOAA National Centers for Environmental Information
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