気候変動による気温上昇が原因で、コーヒーの生産量が減少する恐れがあるという記事を書きましたが、その中でも触れたように、気候変動の影響を受けるのは、コーヒーだけではありません。
ブルームバーグの記事によると、フランスボルドー地区で、ワインの原材料となるメルロー種のブドウが、夏の猛暑の打撃を受けたそうです。
以前より、ワインの原材料となるブドウは、地球温暖化の影響を最も受けやすい代表例として挙げられており、ボルドー地方の温暖化は今後も続くと予測されているため、ボルドー地方をはじめとする地中海性気候の区域のブドウとワインの生産者は、現在よりも温暖な環境でも栽培可能な品種に変更するか、現在栽培しているブドウ種に適した地域に移動して生産を続けるしかなくなる時がくるはずです。
2013年に発表された研究結果(Hannah et al. 2013)によると、現在ワインの原材料となるブドウの生産に適している地域のうち、最悪のシナリオでは、25%から73%の地域が2050年までに生産不能になるそうです。
上の地図は、同研究結果から引用したもので、ヨーロッパのワイン用ブドウの生産に適した環境を表したものです。赤い部分は、現在ワイン用ブドウの生産に適しているが、2050年までに生産できなくなる地域、緑は2050年まで生産可能な地域、青は2050年までにワイン用ブドウの生産に適した環境になる地域です。
ボルドー地域は、フランス西端の逆コの字の上部、川が内陸から河口へ向かう辺りなので、真っ赤で2050年までにはワイン用ブドウの生産ができなくなる地域に該当します。
気候変動による平均気温上昇のおかげで、今世紀後半から来世紀を生きる未来の世代は、北ヨーロッパやイギリス産のワインに舌鼓を打つことになりそうです。
【参照】
ボルドー地方のメルローワイン、気温上昇で打撃-地球温暖化が脅威に|Bloomberg
Hannah, L., Roehrdanz, P., Ikegami, M., Shepard, A., Shaw, M., & Tabor, G. et al. (2013). Climate change, wine, and conservation. Proceedings Of The National Academy Of Sciences, 110(17), 6907-6912. doi:10.1073/pnas.1210127110 http://www.pnas.org/content/110/17/6907.short
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