気候変動否定派(懐疑派)がよく「××年から温暖化していない」という主張をします。
近年よく話題になる「地球温暖化ハイエタス」については別の記事で説明するとして、この「短期的な気温の上下」と「長期的な気温の変化の傾向」を、知ってか知らずか混同して地球温暖化を否定したり、疑問を投げかける人やグループは後を絶ちません。
「天気」と「気候」の違いについての記事で説明した通り、天気は短期的な気象現象を、気候は天気の長期的な傾向(30年以上が好ましい)を指します。例えば、10年間や15年間、平均気温の上下があったとしても、それを根拠に「温暖化」「寒冷化」と言うことはできません。「10年間(15年間)そのような傾向が続いており、その原因について引き続き研究する必要がある」という結論に至るだけです。その原因が自然現象(エルニーニョや太平洋10年規模震動、太陽活動、火山活動など)によるものか、人為的なものか、様々な気候データを分析して最もリーズナブルな結論を導き出します。
地球の平均気温は、短期的な上下を繰り返しながら、長期的に上昇を続けています。つまり、ある特定の期間を恣意的に切り取ると、平均気温が急に上昇していることもあれば、逆に急に低下していることもあるということです。
では、具体的に平均気温の「短期的なノイズ」と「長期的な傾向」はどう違うのか、グラフを見てみましょう。下のグラフは、NASA(米航空宇宙局)のゴッダード宇宙研究所(GISS)の1970年1月から2014年12月までの世界平均気温のデータを表したものです。
Credit: Skeptical Science
グラフを見ればわかる通り、短期的なノイズ(青線で示している1970年から1977年10月、1977年4月から1986年12月、1987年4月から1996年10月、1997年8月から2002年12月、2003年1月から2012年6月、2012年7月から2014年2月)を見ると、これら6つの期間では、世界の平均気温は下がっています。でも、1970年1月から2014年12月までの35年間を見ると、気温は上昇傾向にあるのがわかります。
気候変動が起こっているか、地球が温暖化(寒冷化)しているかどうかは、あくまでも長期的な傾向を見て判断しなければいけません。
【参照】
The Escalator|Skeptical Science
Did global warming stop in 1998, 1995, 2002, 2007, 2010?|Skeptical Science
この記事へのコメント