宇宙からでも見えるインドネシアの森林火災

  8月から始まったインドネシアの森林火災は、まだ鎮火する気配がありません。国際林業研究センター(CIFOR)によると、インドネシアの過去20年間で最悪の森林火災になっており、火災による煙害は約4300万人に影響を与えているそうです。

  煙害が原因の呼吸器疾患での死者は10人、患者は50万人に達していると英ガーディアン紙は伝えています。

  この森林火災は、パーム油を生産する農地を開拓するための、泥炭地の野焼きが延焼して始まりました。米の世界資源研究所(WRI)によると、この泥炭地は、数千年かけて蓄えた二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを大量に含んでおり、森林火災によって、わずか3週間でドイツの1年間の二酸化炭素排出量を超えたそうです。

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グラフ: インドネシアの森林火災から排出される1日あたりの大気汚染物質の量(黒の横線はアメリカの1日あたりの排出量の平均。黄色はアメリカの排出量を超えています)
Credit: WRI 

  また、この火災によって、インドネシアと比較して20倍の経済規模を誇るアメリカの1日あたりの量を上回る汚染物質が大気中に排出されています。
  そして、この森林火災とそれによる煙害は来年の春まで続くという見通しもあり、これからまだ煙害による被害や温室効果ガスの大量排出は続きそうです。

  この大規模な森林火災の様子は、宇宙からでも確認できるほどで、NASAの衛星カメラが捉えた地球の写真に、インドネシアの森林火災による煙が写っています(下のそれぞれの写真の赤丸で囲んだ部分)。

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2015年10月25日のインド洋上から見た地球

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2015年10月28日のインド洋上から見た地球
Credit: 共にNASA

  理由についてはまた別の記事で述べることにしますが、インドネシアの森林火災は、私たち遠く離れた先進国に暮らす者にとって、決して他人事ではありませんし、他人事であってはなりません。

  今は、1日も早い鎮火と、火災による健康被害が拡大しないことを願うばかりです。

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