気候変動による気温上昇に伴って、熱波や寒波、豪雨による洪水など、極端な気象現象、いわゆる異常気象が増えるといわれています。
Credit: 気象庁
不確かな要素や、地域による違いはあるものの、IPCC第5次評価報告書によると、上図のような長期的傾向が見られます。特に顕著なのは、暑い日や暑い夜、持続的な高温や熱波の増加です。
Credit: 気象庁
上のグラフは、ハドレーセンターの気候データベースを元に作成されたもので、1961年から1990年の平均値に対して、1951年から1980年(青線)と、1981年から2010年まで(赤線)の2つの期間における(a)1日の最低気温の偏差と(b)1日の最高気温の偏差の分布を表したものです。薄い影の部分は、1951年から1980年までの(a)夜と(b)昼の、極端に寒い10%(青)と、極端に暑い10%(赤)を示しています。また、影の濃い部分は、1951年から1980年までの期間と比較して、1981年から2010年の期間に、極端に寒い夜と寒い日の日数がどれだけ減少したか(青)と、極端に暑い夜と暑い日がどれだけ増加したか(赤)を示しています。
このグラフを見ると、世界を平均した場合、極端に寒い日と夜が減り、極端に暑い日と夜が増えていることがわかります。
別のデータ比較でも、温暖化に伴って極端に暑い日の増加と極端に寒い日の減少を確認することができます。ある観測地点における観測史上最高気温の記録の数と、観測史上最低気温の数の比較です。安定した気候(平均気温が変化しない)だと、観測史上最高気温の記録更新数と、観測史上最低気温の記録更新数が1対1の割合になるはずですが、温暖化及び寒冷化の傾向が見られる場合、この比率に変化が生じます。
Credit: Climate Central
上のグラフは、アメリカにおける10年ごとの観測史上最高気温の記録更新数と、観測史上最低気温の記録更新数の比率を表したものです。
アメリカのグレートプレーンズが高温・乾燥と農地の不適切な利用が原因でダストボウル(砂嵐)に見舞われた1930年代には、最高気温記録更新が最低気温記録更新の1.6倍に、気温が下降傾向にあった1960年代と1970年代には、最低気温記録の更新数の方が多くなっています。気温の上昇に伴って、2000年代と2010年代は、その直前20年と比較して最高気温記録の更新が顕著になってきており、これらのことから、上のIPCCレポートのグラフと同じく、極端に暑い日が増加傾向にあることがわかります。
Credit: WXshift
上のグラフは、1981年から1990年、1991年から2000年、2001年から2010年、2004年から2014年の4つの10年間の北半球の夏の最高気温の分布が、1951年から1980年と比較してどのように変化したかを表したものです。リンク先は英文サイトですが、ページ中程にインタラクティブグラフがあり、それぞれの10年間を選択すれば時系列に沿ってどのように分布が変化しているのかを見ることができます。
まず、正規分布では、±3σを超える範囲を極端に暑い気温、極端に寒い気温と区分します。このグラフによると、1951年から1980年までは、この±3σを超える暑さと寒さは0.4%の確率で起こっていました。
ところが、2004年から2014年の10年間を見ると、極端に暑い気温が起こる確率は1951年から1980年と比較して22倍(0.4%→8.8%)になり、逆に極端に寒い気温になる確率は半分(0.4%→0.2%)に減っています。
このことからも、極端に暑い日が増加傾向にあることがわかります。そして、このことから地球が温暖化していることがわかります。
最後に、1951年から2011年までの北半球における夏の最高気温の分布が、1951年から1980年と比較してどのように変化したかを表したNASAの動画を掲載しておきます。上のグラフを動画にしたものと考えてもらえばいいと思います。
これらの気温データを元にしたグラフや動画を見ると、平均気温の上昇に伴う極端な暑さの増加が、文字通り目に見えてわかるのではないでしょうか。
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