イエメンに観測史上初めてサイクロンが上陸

  2015年11月3日、紛争が続いているイエメンに、サイクロン「チャパラ」が上陸。イエメンにサイクロンが上陸するのは、観測史上初めてのことでした。


  イエメンの年間降水量は100ミリ程度ですが、サイクロンの影響で、一部の地域では降水量が1200ミリ以上にも達し、浸水した街もあったようです。

201509 Global Land & Ocean Temp Percentiles Edited for Yemen.gif

  今年はエルニーニョ現象が起こっていることもあって、世界の大部分で海洋の温度と海表面の気温が高くなっており、イエメンが面するアラビア海も暖かく(上の地図の黄色く囲んだ地域)、9月の平均気温は観測史上最高を記録しており、サイクロンが発達しやすい環境だったといえます。


  サイクロン「チャパラ」は、アラビア海で発生したサイクロンとしては、信頼できる記録が残っている1990年以降2番目の強さで、中心付近の最大風速は毎秒約70メートルまで発達しました。

  また、北半球でカテゴリー4とカテゴリー5まで発達したハリケーン(サイクロン/タイフーン/台風)が今年23個目となり、2004年に記録した18個を破って史上最多となりました。

  現時点では、エルニーニョ現象や気候変動との直接の関連性は不明ですが、今年発表された研究(Knutson et al. 2015)によると、インド洋北部はサイクロンの発生が増加すると予測されています

【参照】
Knuston,T., Sirutis, J, and Zhao, M. (2015). Global Projections of Intense Tropical Cyclone Activity for the Late Twenty-First Century from Dynamical Downscaling of CMIP5/RCP4.5 J. Climate, 28, 7203-7224. doi: 10.1175/JCLI-D-15-0129.1

にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック