2015年11月3日、紛争が続いているイエメンに、サイクロン「チャパラ」が上陸。イエメンにサイクロンが上陸するのは、観測史上初めてのことでした。
STREETS FLOODED: 51 inches of water in some areas of Mukalla as #Chapala continues to pound #Yemen #اليمن pic.twitter.com/wPyu96sGt0
— Yemen Post Newspaper (@YemenPostNews) November 3, 2015
イエメンの年間降水量は100ミリ程度ですが、サイクロンの影響で、一部の地域では降水量が1200ミリ以上にも達し、浸水した街もあったようです。
今年はエルニーニョ現象が起こっていることもあって、世界の大部分で海洋の温度と海表面の気温が高くなっており、イエメンが面するアラビア海も暖かく(上の地図の黄色く囲んだ地域)、9月の平均気温は観測史上最高を記録しており、サイクロンが発達しやすい環境だったといえます。
Table of all North Indian Ocean TCs >= 135 kts. Note that NIO data only reliable since ~1990. pic.twitter.com/RewqKZIfXP
— Philip Klotzbach (@philklotzbach) October 30, 2015
サイクロン「チャパラ」は、アラビア海で発生したサイクロンとしては、信頼できる記録が残っている1990年以降2番目の強さで、中心付近の最大風速は毎秒約70メートルまで発達しました。
また、北半球でカテゴリー4とカテゴリー5まで発達したハリケーン(サイクロン/タイフーン/台風)が今年23個目となり、2004年に記録した18個を破って史上最多となりました。
現時点では、エルニーニョ現象や気候変動との直接の関連性は不明ですが、今年発表された研究(Knutson et al. 2015)によると、インド洋北部はサイクロンの発生が増加すると予測されています。
【参照】
In a wild El Nino year, another rare extreme: Tropical Cyclone Chapala nears landfall in Yemen|Washington Post
Knuston,T., Sirutis, J, and Zhao, M. (2015). Global Projections of Intense Tropical Cyclone Activity for the Late Twenty-First Century from Dynamical Downscaling of CMIP5/RCP4.5 J. Climate, 28, 7203-7224. doi: 10.1175/JCLI-D-15-0129.1
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