バハマの生物種をより多く絶滅させたのは、気候変動か?それとも人間か?

  今からおよそ1万年から1万1千年前、最終氷期が終わり、更新世から完新世への移行が起こりました。その移行時に、環境の変化に適応できなかった多くの種が絶滅しました。

  現代を見てみると、人間活動と人為的気候変動によって、今後多くの種が絶滅するだろうと言われています。

  では、更新世から完新世への移行のような自然な気候変動と、人間が流入した後の開発や農業などの活動では、どちらがより生物種の絶滅に寄与しているのでしょうか?

  カリブに位置するバハマのアバコ島近海で採取した、魚類13種、は虫類11種、鳥類63種、ほ乳類8種の合計95種、5千を超える脊椎動物種の化石を調べたところ、95種のうち39種が絶滅していることがわかりました。
  絶滅した39種のうち、17種は最終氷期から完新世への移行に適応できず、気候変動の影響を受けて絶滅し、それを生き延びた22種は、約1000年前に初めてアバコ島に人間が上陸してから絶滅していることも判明しました。

  この最終氷期から完新世にかけての気候変動の影響は凄まじく、氷河期に1万7千平方キロメートルあったアバコ島の面積は、海面上昇によって1214平方キロメートルまで縮小、気温と湿度も急激に上昇するなど、激しい環境の変化が起こりました。

  今回の研究で判明した、絶滅してしまった39種の生物種のうち22種は、その激しい環境の変化に適応できる順応性を持っていたのです。つまり、アバコ島で絶滅した生物種のうち、過酷な気候変動には適応できても、島に到着後、乾季に森林を焼却するなどの人間活動に適応できなかった種が半分以上いたことになります。

  現在、地球上の生物種たちは、熱帯雨林などの乱開発や、原油や鉱物などの過度の資源採掘、化学肥料や化学物質の水資源への流入などの人間活動、そして気候変動(大部分が人間活動に起因)と、「二重の適応力」を要求されています。

  生物種たちは、今回の絶滅の危機を生き延びることができるのでしょうか?

  でも、もっと現状に適した疑問はこっちかもしれません。

  私たち人類は、自らの活動が引き起こした急激な環境の変化に適応し、生き延びることができるのでしょうか?

【参照】

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