NOAA(米海洋大気局)による、米本土48州の気温と降水量などの、気候状態の10月のレポート(State of the Climate)が公開されました。
2015年10月の米本土48州の平均気温は14.1℃で、20世紀の10月の平均よりも約1.8℃高く、121年の観測史上4番目に暖かい10月になりました。最高気温の平均は史上15番目だったのに対し、最低気温の平均は観測史上4番目に高く、日没以降気温が下がらない傾向が続いています。また、10月は南部と南西部を中心に降水量が多かったため、観測史上20番目に降水量の多い10月となりました。
州毎の10月の平均気温では、相変わらず米西部と北西部が高く、ワシントン州は観測史上最も暖かい10月になりました。その他の西部の州でも、カリフォルニア、オレゴン、アイダホ、モンタナ、ワイオミングの各州は観測史上2番目に高い平均気温を記録しました。
「アメリカの州全然わからんわ」という方のために、アメリカの地図も載せておきます(ワイオミングとかメインとかアメリカの真ん中あたりとか、東海岸のDC周辺の州とか、私も地図で確認することがあります)。
先月は観測史上最も暖かい9月になった米中西部や北東部の一部では、平年よりも少し暖かいか平年並みの10月になりました。9月と10月の変化を、下の画像(9月と10月の平均気温をGIFにしてあります)で見比べればよくわかると思います。
興味深いのは、9月は観測史上最も暖かかった米北東部のメイン州が、観測史上34番目に涼しい(観測史上88番目に暖かい)10月となり、わずか1ヶ月で両極端な気温差を経験することになったこと。逆に、9月は平年並みだった北西部のワシントン、オレゴンの両州が、10月にはそれぞれ観測史上最高と史上2番目の暖かさになったのも、興味深い現象です。これらの現象を見ても、短期的なバリエーションと長期的な傾向の違いを感じることができるのではないでしょうか。
9月までを通じて、観測史上最高の平均気温を記録していたのは、カリフォルニア、ネバダ、オレゴン、ワシントンの4州だったのですが、10月の暖かさを受けて、モンタナ、アイダホ、ユタ、アリゾナの4州が加わり、残り2ヶ月の平均気温次第で、8州が観測史上最も高い年間平均気温を記録するかもしれません。
この暖かさは、米西部に居座り続けている気圧の峰(高気圧)と、記録的な暖かさになっている太平洋東岸(米西海岸)が影響しているのですが、今年はエルニーニョ現象が起こっており、その勢力がまだ衰えておらず、恐らく12月あたりにピークを迎えることから、その影響を受けて南西部は涼しくなると思われるので、アリゾナ州などは観測史上最も暖かい年にはならない気がします。
でも、予想外のことが起こる昨今の気象状況を考えると、通常のエルニーニョの年とは違うことが起こっても驚きません。
【参照】
State of the Climate|NOAA
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