米海洋大気局(NOAA)のレポートによると、10月の世界平均気温が観測史上最高を記録し、136年の観測史上で最も暖かい10月になりました。これで、今年に入って1月と4月を除くすべての月で観測史上最高を記録したことになります。
陸地と海洋を合わせた10月の世界の平均気温は、20世紀の平均(14℃)と比較して0.98℃高く、5月から6ヶ月連続で観測史上最高を更新しました。また、この20世紀の平均気温との0.98℃の偏差は、今年9月に記録した0.91℃を更新し、観測史上1630ヶ月の中で最も大きな偏差となりました。
陸地の平均気温は20世紀の平均よりも1.33℃、エルニーニョの影響を受けた海洋の平均気温は0.85度高く、共に観測史上最高を記録しました。
オーストラリアの10月は、1961年から1990年までの30年間の10月の平均気温よりも2.89℃も高く、オーストラリアの106年間の観測史上(1282ヶ月)で最も平均との偏差が大きな月となりました。
1月から10月までの世界平均気温も観測史上最高を記録しました。北大西洋のグリーンランド沖だけはこれまでと同じく観測史上最低気温を更新していますが、東太平洋とインド洋は記録的な暖かさが続いています。
このグラフは、観測史上最も暖かかった6年と、2015年の合計7年の月間平均気温の偏差(各月の20世紀の平均気温よりも何度気温が高いか)を表しています。2015年の1月は、このグラフには含まれていない2007年に次いで観測史上2番目、4月はグラフの通り史上3番目の暖かさでしたが、それ以外の月は観測史上最も偏差が大きく、特に9月と10月の暖かさが際立っています。
これは、それぞれの月までの20世紀の平均気温からの偏差の平均を表したグラフです。1月は1月のみの偏差ですが、2月は1月と2月の偏差の平均、6月は6ヶ月分の偏差の平均を表しています。今年を除く6年は、その差が約0.1℃の範囲に収まっているのに対し、今年は観測史上最も暑い年になった昨年(2014年)の10月との差が0.12℃もあります。このグラフを見ると、今年の暖かさがいかに異常かがよくわかります。
史上最強規模まで成長したエルニーニョ現象の影響も大きいですが、そこに気候変動の影響も加わった結果、昨年を大きく上回る結果になっていると思われますが、それを上のグラフで確認することができます。
2015年(観測史上最高記録を更新中)と1998年(2015年を除いて観測史上6番目)が、エルニーニョ現象の年です。そして、10月までの段階では、1998年のエルニーニョの方が今回のエルニーニョよりも強いのです。エルニーニョ現象の影響だけならば、今年の平均気温は1998年を下回るはずです。つまり、気候変動が気温上昇を加速させていると考えられます。もちろん、エルニーニョ以外の自然変動の影響も少なからずあるとは思いますが、気候変動の影響が大きいと考えるのが自然でしょう。
ここにきて観測史上最も暖かかった2014年をさらに大きく更新している今年の世界平均気温は、ほぼ間違いなく観測史上最高を記録すると予測されています。
Probability that 2015 will be a record warm year now 99.9% based on Jan-Oct GISTEMP data. pic.twitter.com/glfKYAha3X
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) November 17, 2015
NASAゴッダード宇宙研究所のゲビン・シュミット氏によると、2015年が観測史上最も暖かい年になる確率は、99.9%だそうです。
今回のエルニーニョ現象は、11月から12月にかけてピークを迎えると言われており、今年末までに著しく平均気温が下がるとは考えにくく、どうやらこのまま昨年の記録を大幅に破ることになりそうです。
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