エネルギー事情は、国によって異なります。近年では、先進国から一部の途上国まで、再生可能エネルギーの導入が著しい増加を見せています。
日本の再生可能エネルギーへの投資(2014年)は、中国、アメリカに次いで世界で3位の約4兆円と、その額の大きさに意外な印象を受けます。しかし、日本の再生可能エネルギーの年間発電量の割合は、世界平均の22.8%に大きく及ばない12.6%(大規模水力を含む)しかありません。
日本では、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故以来、原子力発電の割合が大きく減少し、化石燃料による発電量が大きく増加しました。また、アメリカのエネルギー自給率約90%と比較すると、日本の自給率は約4%と著しく低くなっています。石炭も天然ガスも石油も輸入に頼るしかない日本が自給率を上げるには、地域の持つリソースに合った再生可能エネルギーの導入を進めるしかないでしょう。ちなみに、日本はウランを全量輸入しているのに、なぜか原子力を「準国産」として「自給率」に入れようとしますが、「何言うとんねん」としか思えません。
さて、アメリカでは、近年風力と太陽光/太陽熱を中心に再生可能エネルギーの導入と、シェールブームに乗って価格が下がった天然ガスの割合の増加が顕著です。
このグラフは、2004年から2014年の間の、石炭(Coal)、天然ガス(Natural Gas)、石油(Petroleum)、原子力(Nuclear)、水力(Hydro)、再生可能エネルギー(Renewables)の発電量の増減を表しています。再生可能エネルギーは、太陽、風力、地熱とバイオマスです。
シェールブームによる天然ガスの台頭(10%増)で、価格競争で不利になってきている石炭火力が減少しています。しかし、急激な伸びを見せている再生可能エネルギーは、2004年の1%から5%の増加に留まっています。ここ数年で価格が下がり、天然ガスと互角の競争力を持つようになってきましたが、それでもやはり風力と太陽光/太陽熱は化石燃料とは違い、安定した電力供給を24時間続けることができず、また、ピーク時に発電した電力を蓄えておくことができないのも大きな要因であると考えられます。また、地域によって風力や日射量に違いがあるため、アメリカの全州が同程度の規模や速さで導入するのは難しいでしょう。さらに、州によってエネルギー政策が異なり、化石燃料産業との結びつきが強い州では、再生可能エネルギーの導入が進まない傾向にあります。
上のグラフでは、先ほどのアメリカと、それ以外の特徴的な州を選びました。比較してみると興味深いと思います。ウェストバージニア州は、いまだに炭鉱が盛んで、石炭火力発電の割合が全米トップです。石炭産業と政治の結びつきがとても強いため、石炭火力発電に対する更なる規制によるコストの上昇で競争力が急激に落ちない限り、大きなな変化は期待できません。
ここテキサス州は、大手化石燃料企業が本社を置いているなど、化石燃料一辺倒というイメージがあるのですが、風力発電量は全米で断然トップです。テキサス州をひとつの国として見た場合、世界で6番目の風力発電量を誇っています。また、太陽光発電のポテンシャルは全米一と言われており、今後更なる再生可能エネルギーの導入が期待されています。
発電量の割合が国や地域のエネルギー政策に大きく左右されることは、アメリカの例を見ればよくわかる通り、早い話が「やるかやらないか」なのですが、再生可能エネルギーの導入はもはや一過性の「ブーム」ではなく、テクノロジーの進化と価格競争力の向上によって、先進国を中心に今後も急激な成長を続けると思います。
【参照】
日本のエネルギー2014|資源エネルギー庁|経済産業省
Global Trends in Renewable Energy Investment 2015|Frankfurt School-UNEP Centre/BNEF. 2015
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