【COP21】開催初日の感想など

  いよいよパリで「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」が始まり、開催初日は各国首脳によるスピーチや、新たなプロジェクトの発表などが行われました。

  いくつか印象に残った出来事を書き連ねてみようと思います。

◆ 官民共同のクリーンエネルギー研究開発プロジェクトの立ち上げ
  初日の話題をさらっていったのは、米オバマ大統領や米マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏らによる、官民共同のクリーンエネルギー研究開発プロジェクトの立ち上げの発表でした。
  Facebookのザッカーバーグ夫妻、英バージングループのリチャード・ブランソン会長、米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEO、アリババグループのジャック・マー会長、米投資家のジョージ・ソロス氏、ソフトバンク社の孫正義会長などが創立メンバーに名を連ね、20ヶ国が参加し、各国政府のクリーンエネルギーの研究への投資と同額を民間側も投資し、気候変動対策として発電や蓄電、送電、産業及び農業などにおける電力利用の効率化を促進させることを目的としています。日本も参加を予定しています。

◆ 首脳によるスピーチでカナダの新首相が喝采を浴びる
  初日は参加国の首脳がスピーチを行いましたが、その中でカナダのジャスティン・トルドー新首相が強い印象を残しました。
  トルドー首相はスピーチで「みなさん、カナダが帰ってきました。私たちは手を差し伸べるためにここにいます。」と挨拶し、喝采を浴びました。カナダは前首相が京都議定書から脱退するなど、気候変動対策に消極的で、気候変動関連の国際会議には出席すらしなかったため、新首相の「カナダが帰ってきました」という挨拶はそれだけで歓迎されるものだったのです。炭素税のようなシステムを導入する以外の具体的な気候変動対策の発表はありませんでしたが、新鮮で印象に残るスピーチでした。

◆ 緊張感溢れる途上国のスピーチ
  島しょ国を始めとする海抜の低い国々や、アフリカなどのすでに気候変動の深刻な影響を受けている国々の首脳のスピーチが緊張感に溢れ、印象に残るものが多かったです。

  ミクロネシアの大統領は、島しょ国の気候変動への取り組みについて「太平洋の海と暮らす人々は説得を必要としません。私たちは既に説得されています。私たちは危機を感じ、先進国に対して行動を促す努力を続けるよう、国連事務総長にお願いしてきました。気候変動に対するチャレンジは、私たちを救うためのものです。他の誰でもない、私たち自身を救うためなのです。」と訴えました。

  また、同じ太平洋の島しょ国、ツバルの大統領はスピーチでこう訴えました。「私たちは崖の縁に立っています。私の立場になって想像してみて下さい。あなた方ならどうしますか?この会場に、私と同じくらい不安と責任を背負っている指導者はいないはずです。ここには、『(気候変動の影響で)自国がすべて消えてしまう』と言える人はいないはずです。私たちがお願いしたいのはとてもシンプルです。私たちと、私たちの子どもたちの未来が保証されることです。みなさん、今こそ一緒に立ち上がって私たちの未来を築くときです。ツバルのためにやりましょう。ツバルを救うことができれば、間違いなく世界を救うことができます。」



  2100年までの気温上昇を2℃以下に抑えることが国際的な目標になっていますが、二酸化炭素排出量が極めて少ない、気候変動に最も寄与していない島しょ国の首脳たちは、2℃ではなく1.5℃の気温上昇に抑えるための対策を求めています。

  世界は、彼らの切実な声を聞き届けることができるのでしょうか。

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