2016年は95%の確率で最も暑い年に

  1月から11月までの世界平均気温が昨年を大きく上回る観測史上最高を記録し、2015年は99.999%の確率で最も暑い年になるという記事を書いたばかりなのですが、英気象庁は、2016年の平均気温は今年をさらに上回り、95%以上の確率で観測史上最も暑い年になるという見通しを発表しました。

2016 Projected Global Temp Anomalies by Met Office.jpg
Credit: Guardian

  上のグラフのうち、2015年は1月から10月までの平均気温の偏差になっているので、実際には2015年と2016年の予想値の差はもう少し小さくなるとは思いますが、それでも今年を上回るだけでもすごいことです。

  英気象庁の予想によると、2016年の世界平均気温は、産業革命前よりも1.14℃高くなり、今年の平均気温を下回る確率は5%にも満たないそうです。気候変動による温暖化と、現在ピークを迎えているエルニーニョ現象が勢力を弱めながらも2016年の春まで続くことが、今年の気温を上回る大きな要因です。通常エルニーニョ現象の影響は数ヶ月後に表れるため、今年よりも来年の気温の方が高くなると考えられます。1997年に起こった史上最強のエルニーニョ現象でも、翌1998年の平均気温の方が高くなったことからも、来年の気温の方が高くなるであろうことが予測できます。

  今年、世界各地で起こった異常気象の多さと規模を考えると、さらに気温が高くなると予想される来年も、地球規模で熱波や集中豪雨による洪水など、極端な気象現象が起こることが懸念されます。

  また、英気象庁は、前回のエルニーニョ現象以降、熱エネルギーが海洋に取り込まれるなどして比較的緩やかだった気温上昇の傾向が終わり、今後は気温上昇が加速する兆候が見られるとしており、エルニーニョ現象のような自然変動の影響を受けると、気候が過去に例を見ない深刻な状態になると述べています。

  このような気温上昇の傾向は、大気中の二酸化炭素濃度が下がるまで続きます。COP21では歴史的合意に至りましたが、それでもなお世界中で化石燃料の採掘と火力発電所の建設は続いており、このままでは望まれるような速さで気候変動対策が進むことは期待できません。

  「2100年までの気温上昇を、産業革命前よりも2℃を大きく下回る値を目標とし、1.5℃未満に抑えるための努力を行う」とパリ協定には記されましたが、来年には産業革命前の平均気温を1.14℃上回ってしまい、残る84年間で0.36℃未満の気温上昇の余地しか残されなくなるこの状況を、COP21を終えて祝福ムードに浸っている各国政府はどのように捉えるのでしょうか。

【2016年5月28日追記】
  米航空宇宙局(NASA)ゴッダード宇宙研究所のディレクターで気候科学者のギャビン・シュミット氏が2016年4月までの世界平均気温を元にした推測値によると、2016年が最も暑い年になる確率は99%以上


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