【独り言】産業革命以降の人類が変えてしまったもの

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  僕たちが現在生きている時代(人類誕生以降)は、地質時代区分で新生代・第四紀の完新世に当たります。
  また、正式名称ではありませんが、21世紀に入ってから、産業革命以降の人間による地球環境への影響度が著しく増大した時代を「Anthropocene(アントロポシン)/人新世」と呼ぶようになりました。人類は、石炭などの化石燃料を採掘して燃焼させて大気の状態を変え、森林を乱開発し、大規模農業を営み、動植物の大量絶滅を招くなど、それまでとは比較にならない足跡を地球に残してきました。それも、200年にも満たない短い期間で。

  人類は過去50年間で、それ以前の人類史で消費してきたよりも多くの資源を浪費しました。たった50年で、過去から受け継いだ資源を食い潰し、未来には破壊の限りを尽くした環境を残そうとしているのが、他ならぬ僕たちの姿です。

  熱帯林の乱開発は1秒に1エーカーのペースで進み、地球上の半分以上の温帯林と熱帯林が伐採され、75%の魚類が乱獲され、乾燥地帯にある半分以上の農地が荒れ地になったり砂漠化し、大気中の二酸化炭素濃度は産業革命以降40%増加しました。

  アマゾンやインドネシアなどで乱開発が続いている熱帯雨林は、土壌の繊細さから、開拓してしまうと再生させるのはほぼ不可能といわれています。海水が大量に取り込んでいる二酸化炭素の影響で海洋は酸性化し、海洋の温暖化と相まって珊瑚礁の白化が進み、殻を持つ海洋生物は成長を妨げられるなど、今後多くの海洋生物が絶滅すると言われています。

  環境問題や温暖化問題を語るときに僕たちはよく「未来のために」「未来の世代のために」という言葉を使います。未来を語り、未来へ向かうには、まず過去から学び、問題を起こしてきた過去を断ち切ることから始めなければならないはずなのに、僕たちの世代はまだ過去にしがみついたままです。その結果、僕たちが産業革命以降に大気中に撒き散らした二酸化炭素の一部は温室効果ガスとして気温を上昇させ、一部は海や植物、土壌などに場所を移し、時を経て再び大気に放出され、温暖化の原因となっています。

  気候変動問題では、2100年までの気温上昇や二酸化炭素排出量について話をしますが、地球温暖化の影響は、2100年を大きく超えて続きます。

  僕たちが残している二酸化炭素は、数百年後、数千年後を生きる未来の人たちの気候を変えてしまうのです。今世紀中に脱化石燃料を果たしても、その後数百年間、気温は上昇を続けます。気温上昇に伴って、北極や南極の氷床は融解を続けます。たとえ気温の上昇が止まり、下がり始めたとしても、再び氷が増え始める気候条件に戻るまでは、氷の融解が止まることはありません。数百年から千年単位で、海面上昇は続きます。

  もしも、産業革命前よりも4℃~5℃くらい気温が上昇し、その状態が続いてしまった場合、次の氷河期はとても穏やかなものになる可能性が高くなります。氷河期と間氷期の気温の差は6℃から7℃くらいなので、今後の気候変動対策次第では、氷河期そのものがなくなってしまうかもしれません。それくらいの強いインパクトを僕たちは残そうとしているのです。

  僕たちが地球上に残してきた足跡、壊してきたものが元の姿に戻るまでには、数万年、十万年単位の時間がかかります。

  でも、過去を変えることはできませんが、未来を変えることはできます。

  人新世が始まって以来、人類はずっと化石燃料を使い続けてきました。僕たちが気候変動関連会議などで議論してきたのは、「いつ化石燃料への依存から脱却するか」です。遠くない将来に化石燃料は尽きて、新しいエネルギーへと移行しなければいけないのは誰もがわかっているのです。

  問題は、やるかやらないか、そしていつやるのかなのです。

  想像し得る限りの破壊を尽くしてきた僕たちに、時間を巻き戻して過去を変えることはできません。でも、未来のため、未来の世代のために、今の社会を作ってきたエネルギーを過去のものにすることはできます。せめて未来の人たちに「できる限りのことはやった」と言えるだけのことをやるのが僕たちの義務だと思います。

  そして、その義務を果たす機会が目の前にあるのです。

  未来を変えるのは、僕たちが変わるのは、今です。

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