エルニーニョ現象は早くても夏前まで続く見込み

  温暖化と共に、史上最高になることがほぼ確実な今年の平均気温を押し上げてきたエルニーニョ現象の勢力は依然として強いままで、予測によると早くても2016年の夏前まで続く見込みです。

Average SST Nino 3.4 as of 2015-12-19.jpg
Credit: NOAA

  エルニーニョ現象の強さの指標となる、ニーニョ3.4地域における海面温度の平均偏差が2.9℃と、史上最も強かった1997年の値(2.8℃)を上回る状態が続いています。

EL Nino 1997vs2015-animated-485 as of 2015-12-06.gif
Credit: NASA

  左が1997年のエルニーニョ、右が今年(2015年)のエルニーニョで、それぞれの同時期の勢力(平均海面温度の偏差)を比較しているGIF動画ですが、今年の方がピークを迎えてからその勢力を保っている期間が長いように感じます。

Weekly SST Anomalies 2015-11-25 - 2015-12-16.jpg
Credit: NOAA

  これは過去4週間の海面温度の平均偏差を表したもので、若干勢力が弱まっているように見えますが、顕著な違いは見られず、まだピークが続いていると考えていいと思います。

El Nino Predictability 2015 Mid December.jpg

  これらのグラフを比較する限りでは、12月初旬の予想(左のグラフ)よりも、中旬の予想(右)の方が、春までエルニーニョ現象が続く確率が高くなっており、予想以上にエルニーニョの勢力が衰えていないことを表しているといえるでしょう。どちらも、エルニーニョ現象の終息時期を5月から6月と予想しています。

  このことから、海洋の熱容量の大きさによって起こる気温上昇のタイムラグを考慮に入れると、2016年は今年を上回る平均気温を記録する可能性が高いと思われ、今年以上に世界各地で極端な気象現象が起こるなどの深刻な影響が懸念されます。

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