世界各地で異常気象相次ぐ

  年末年始が迫る中、世界各地で異常気象が相次いで起こっています。

  テキサス州やアラバマ州、ミズーリ州、ミシシッピ州などの米南部と中西部では、トルネードや激しいストームによる洪水が発生し、43人の死者と1000棟以上の建物が損壊するなどの甚大な被害が出ています。テキサス州ダラス・フォートワース大都市圏では、12月にしては最大規模の改良藤田スケールでEF4のトルネードが発生し、11人が死亡しました。ミズーリ州では豪雨による鉄砲水で8人が死亡、ミシシッピ州でもストームが原因で10人が亡くなっており、いくつもの州で非常事態宣言が発令されています。

  これは、ニューヨークなどの米北東部と東部に記録的な暖かいクリスマスをもたらした、12月末としては異常に暖かい空気と、南下したジェット気流が運んできた北極の寒気団がぶつかったために、大気が極端に不安定な状態になったことが原因です。

  英イングランド北部では、記録的な豪雨によって過去に例を見ない規模の洪水が起こり、イギリス軍兵士300人が派遣され、復旧作業にあたっています。歴史的な町であるヨークでは、数百人が避難を余儀なくされており、被害の拡大が懸念されています。

  スペインでは、12月にしては珍しい山火事の発生が相次ぎ、カンタブリア州では25ヶ所、アストゥリアス州では16ヶ所で山火事が発生しており、例年よりも気温が高く、乾燥していることが原因ではないかといわれています。

  オーストラリアでも、南部のビクトリア州で森林火災が拡大し、住宅116棟が全焼するなどの被害が出ています。オーストラリア南部が夏期に乾燥するのは、エルニーニョ現象発生時の特徴です。

  南米では、パラグアイとアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイで大雨による洪水が起こり、少なくとも8人が死亡、4ヶ国で16万人以上が避難を強いられています。過去50年で最悪の洪水といわれており、勢力の強いエルニーニョ現象が原因と考えられています。

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      エルニーニョと降水量の関係

  上の地図と照らし合わせると、ここで挙げたいくつかの極端な気象現象にはエルニーニョの影響が見受けられますが、自然現象であるエルニーニョと人為的気候変動の相乗効果によって、これらの気象現象がより極端になっていると考えていいと思います。

  以前から何度も述べているように、ひとつひとつの異常気象の原因が気候変動であると断言することはできません。しかし、気候変動によって気温が上昇し、大気の状態が変化して、以前よりも極端な気象現象が起きやすくなっていることは間違いありません。

  特定の気象現象を気候変動が引き起こしたと言いきることはできませんが、すべての気象現象に気候変動が影響を与えていると言っていいでしょう。

【参照】

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