2015年は、気候変動関連で良くも悪くも記録と記憶に残る多くの出来事が起こった年になりました。心に残った5つの気候変動に関連する出来事を挙げていきます。
1. 2年連続で世界平均気温が観測史上最高を記録することが確実に
2014年の記録を大きく上回り、2年連続で観測史上最高の世界平均気温を記録することが、12月を残して99.999%確実と言われるくらい、圧倒的に暑い1年になりました。
今年の気温がエルニーニョ現象の影響を受けているとはいえ、史上最強規模のエルニーニョ現象が起こった1997年よりも、エルニーニョではない近年の気温の方が高くなっており、また、産業革命前(1850年から1900年までの世界平均気温)から2015年の世界平均気温が1.05℃高くなった場合、そのうちエルニーニョ現象による影響は0.05℃に過ぎないという分析結果もあり、温暖化が再加速を始めた可能性が高いと言われています。
悪いニュースは、2016年が今年の記録を破って3年連続で観測史上最高の世界平均気温を記録する確率が95%以上と予想されていることです。
2. エルニーニョ現象が史上最強規模に
1997年12月28日と2015年12月27日のエルニーニョの海洋への影響の比較
Credit: NASA
ゴジラエルニーニョというニックネームがつけられるほど勢力が強くなった今回のスーパーエルニーニョ現象は、世界の平均気温を押し上げ、いまだピークをキープしたままで、すでに世界各地に異常気象を引き起こす原因になっています。最新の観測データに基づく予測では、エルニーニョ現象は来年の春遅くから初夏まで続くといわれており、今年よりも2016年に入ってからの方が深刻な影響を世界各地にもたらすことになると警鐘が鳴らされています。
3. 大気中の二酸化炭素濃度400ppm未満の時代が終わりを告げる
80万年前から現在までの大気中の二酸化炭素濃度の変化(単位: 千年)
ハワイにあるマウナロア観測所で計測されている二酸化炭素濃度が、恐らく僕たちの世代にとっては最後の300ppm台を記録した記念すべき年になりそうです。二酸化炭素濃度は植物の成長期になると下がるため、2016年の春には再び下がり始めますが、1997年から98年のエルニーニョ現象によって二酸化炭素濃度が大幅に上がったことから、今回も同じように濃度が3~4ppm上昇するようならば、僕たちはもう二度と二酸化炭素濃度が400ppm未満の世界で呼吸をする機会はないと思われます。
4. キーストーンXLパイプライン建設プロジェクトが却下
オバマ政権が2008年にカナダのトランスカナダ社より建設認可申請を受けて審査していた、カナダとアメリカの国境を越えてカナダのアルバータ州からテキサス州のメキシコ湾岸を結ぶキーストーンXLパイプライン建設プロジェクトが、2015年11月6日付で却下されたことは、まだ記憶に新しいところです。
気候変動問題への国際的な取り組みに対して、世界市民はまだまだ声をあげ続ける必要がありますが、そのための動機や勇気をもらうことができた、貴重な成果だったと言えます。
5. 京都議定書に続く「パリ協定」に世界が合意
「これが最後のチャンス」とまで言われた、国際社会による2020年以降の気候変動対策の道筋を作るための場となった「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で、200ヶ国近い国々が、京都議定書に続く「パリ協定」に合意し、採択されました。
参加各国の様々な思惑の違いを超えて、初めて世界が同じテーブルで気候変動対策に真剣に取り組むための足がかりを作ったことは評価に値すると思いますが、協約の合意内容を守らなくても罰則が一切規定されていない自主性に任せる方法が、新自由主義が先進諸国の政治をコントロールしている今の世の中でどこまで守られるのか、僕たち世界市民がしっかり監視して、圧力をかけていかなければなりません。
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