地球温暖化の原因は何?

Whats warming the world - from Bloomberg.jpg


  何が世界を温暖化させているのか?という、インタラクティブグラフを用いて地球温暖化の原因を説明している米ブルームバーグ紙の記事がとてもわかりやすいので紹介します。

  記事では、1880年から2014年までの世界平均気温の観測記録を1880年から1910年のデータと比較した偏差のグラフを、地球温暖化の原因かもしれない様々な要素の観測データ(1880年~2005年)と重ね合わせて表示し、平均気温との関連性があるかどうかを検証しています。

  検証対象としているデータは、「地球の軌道」「太陽活動」「火山活動」の自然的な要素と、「土地利用(森林開発)」「オゾン層」「大気汚染」「温室効果ガス」の人間活動由来の要素の7つで、各要素別、自然由来をまとめて、人間活動由来をまとめて、そして全要素をまとめた観測データを世界平均気温データと比較しています。

  ブルームバーグの記事で見る方がスケールも大きく、自分のペースで見ることもでき、データのソースなどの詳細も確認できるのでわかりやすいと思いますが、ざっくりとしたイメージをつかんでもらうために、グラフによる比較検証を動画にしたYouTubeのリンクを貼っておきます。個人的には、自然現象由来の要素にエルニーニョ現象とラニーニャ現象を加えれば、平均気温との関連性がよりわかりやすくなったはずだと思うので、それだけが少し残念ですが、このままでも十分わかりやすいと思います。


  それぞれの要素と気温の関係について、短く説明を加えておきます。

  「地球の軌道の変化」には時間がかかるため、125年という地球規模で見ればとても短い期間で気温の変化に影響を与えるのは不可能です。
  「太陽活動」は地球の気温の変化にわずかな影響しか与えておらず、また、ここ数十年は太陽活動が低くなっているため、気温上昇の原因にはなり得ません。
  「火山活動」で排出される二酸化炭素は人間活動に比較すると約100分の1しかないため温室効果はわずかで、噴出する火山性エアロゾルの太陽エネルギーを反射して気温を下げる効果の方が上回っています。

  人間活動由来では、「土地利用(森林開発)」は暗い木々がなくなり、より明るい地表面が現れることで、太陽エネルギーを反射する割合が増加するため、気温を下げる効果があります。
  「オゾン層」には、大気の高い層のオゾン層(成層圏オゾン)と地表近くのオゾン層(対流圏オゾン)の2種類があります。成層圏のオゾン層は太陽からの放射線を反射する役割を果たし、逆に対流圏のオゾン層には温室効果がありますが、気温上昇に与える影響はわずかしかありません。
  大気汚染の原因となるエアロゾルは、その種類によって太陽エネルギーを反射する役割と吸収する役割を果たすものがあり、複雑ではあるのですが、エアロゾルが水蒸気と連結して雲を形成した場合も含めて、気温上昇よりも気温を下げる効果の方が大きいとされています。
  気温上昇の原因として考えられる要素で残っているのは、温室効果ガスだけです。気温上昇と温室効果ガス濃度を比較すると、両方が同じような上昇カーブを描いています。

  そして、これら自然由来と人間活動由来すべての要素を加味して平均気温の変化と比較すると、温室効果ガスと気温、人間活動由来と気温を比較した場合よりも、より双方の関連性が高いことがわかります。

  温室効果ガスが気温上昇の主な原因になっていることは明らかなので、「温暖化の原因は何か」ではなく、気温上昇の速度を緩めるために私たちに何ができるのかについて、議論を深めるべきです。

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