米海洋大気局(NOAA)の発表によると、2015年12月のアメリカは、同月としては121年の観測史上最高の平均気温を記録し、また、2015年のアメリカは観測史上2番目に暑い年になりました。
(上)米本土の2015年12月の平均気温のランク(赤は観測史上最高)
(下)米本土各州の2015年12月の平均気温のランク(赤は観測史上最高。数字は大きければ大きいほどランクが高く、「121」が観測史上最高を意味します)
2015年12月は、これまで観測史上最も暖かかった1939年の平均気温を約0.5℃上回る異常な暖かさでした。東部と北東部の州は軒並み観測史上最も暖かい12月となり、秋までの(平均気温の)西高東低とは逆の傾向が見られるようになりました。特に、クリスマス時期の米北東部が夏と同じくらい暖かくなったのは記憶に新しいところです。
この12月の東部及び北東部の異常な暖かさは、ここ数年同地域に豪雪をもたらしていた極渦(Polar vortex)の勢力が今年は強いのに加え、北極振動(Arctic Oscillation)が正位相にあるために極渦が南下することなく極地域にとどまっていたことが大きな原因であると考えられます。
Credit: Climate Central
世界の平均気温が異常な高さで推移する中、2015年前半のアメリカは西部と北西部を除いて目立った暖かさではありませんでしたが、後半はエルニーニョ現象の影響もあって高い平均気温を記録し、年間の平均気温は観測史上2番目の高さになりました。
米本土各州の2015年の平均気温のランク
2015年12月の平均気温とは異なり、年間の平均気温は西部と北西部が高い傾向にあり、ワシントン、オレゴン、モンタナの3州が観測史上最高を、アイダホとカリフォルニア州は観測史上2番目に高い平均気温を記録しました。米南東部のフロリダ州も観測史上最も暑い年になりました。
米本土各州の2015年の平均最高気温のランク
米本土各州の2015年の平均最低気温のランク
また、以前にも記事にしましたが、上の地図を見ればわかる通り、平均最高気温よりも平均最低気温の方が高い州が多い傾向にあり、温暖化が進むと平均最低気温の上昇速度が平均最高気温のそれを上回ることから、温暖化の影響が顕著だと言っていいでしょう。
エルニーニョ現象の影響を受けて、2016年の世界の平均気温が2015年を上回る可能性が高いと言われていますが、アメリカの2016年はどのような気候になるのか、これっぽっちも楽しみではありません。
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