気候変動対策に反対する人たちが答えるべき倫理/公正に関する質問: 科学的不確実性編

  経済的損失、科学的不確実性、そして他国が同様の気候変動対策を講じないことを理由に、温室効果ガス削減などの気候変動対策の実施に反対する人たちが答えるべき倫理的・公正的質問について、前回の記事では経済的損失や特定産業の損失、失業者の増加などの経済への影響を理由に、政府による気候変動対策に反対する人/団体が答えるべき倫理/公正に基づく問いを挙げました。

  今回は、科学的不確実性を根拠に気候変動対策に反対する人たちへの問いを挙げてみたいと思います。

B. 科学的不確実性を根拠に気候変動対策を理由に、政府による気候変動対策に反対する人/団体が答えるべき倫理/公正に基づく問い

1. 全米科学アカデミー、英王立科学アカデミー、米国科学振興協会、米国地球物理学連合、米国物理学会、米国気象学会などの信頼度の高い科学団体や、気候変動関連の研究論文を発表している気候科学者のうち97%が同意している、「地球は温暖化しており、その原因の大半は人間活動によるもの」で、その深刻な影響は世界各地ですでに出ており、温暖化の破滅的な影響を避けるために国際社会に残された時間は少ないという結論を、どのような明確な根拠を基に無視または否定するのですか?

2. 仮定上の話として気候変動による影響に関して科学的不確実性があるとした場合、人為的温暖化の破壊的な影響を予防するのが手遅れになり、世界中で被害を受ける人が出るのを事実上保証することになるとしても、すべての不確かな点が明らかになるまでは気候変動対策を実施するべきではないと主張しますか?

3. 気候変動の科学的不確実性がなくなるまで待つことが、気候変動の影響をより深刻なものとし、それを防ぐために必要な二酸化炭素排出量削減の達成をより困難にさせることになっても、気候科学に不確かな点があることを理由に、最も深刻な影響を受ける国や人が、先進諸国の気候変動対策に関する判断のプロセスに参加することを否定しますか?

4. もしもあなたが「人間活動が気候変動の原因ではない」と主張している場合、これまでに観測データを基にした多くの研究結果が、「地球は温暖化しており、その原因の大半は人間活動によるもの」と結論づけていることをご存じないのですか?

5. もしもあなたが「気候変動による悪影響がまだ証明されていない」という理由で「アメリカや日本などの歴史的に温室効果ガスを大量に排出してきた国が気候変動政策を採る必要はない」と主張している場合、気候変動懐疑派たちは査読を経た研究論文で人為的気候変動による健康問題や環境破壊などの悪影響が出ないと証明していると主張するのですか?もしも証明していると主張する場合、根拠になる査読を経て発表された研究結果を示すことができますか?

6. 仮にあなたが「気候変動懐疑派は査読を経た研究論文において人為的温暖化が人間の健康や環境に対して深刻な脅威にならないことを証明していない」と認める場合、人為的温暖化は、温室効果ガス排出量の削減を遅らせると破滅的な気温上昇を招き、その脅威を避けることがより困難になってしまうのですが、あなたは温室効果ガスの大量排出国は、大気中の温室効果ガス濃度を上昇させても安全であることを証明する義務を負うことに同意しますか?

7. もしもアメリカや日本などの温室効果ガスの大量排出国が、科学的不確実性を理由に、温室効果ガス濃度が世界的に公正な負担を分担するレベルになるよう排出量を削減することを拒否した結果、実際に気候変動によって数千万人から数億人にのぼる環境弱者の健康や、彼らが依存している環境や生態系に深刻な被害が出た場合、気候変動対策を採らなかった国は、本来避けることができたはずのそれらの被害に対する責任を負うべきだと思いますか?



  ここに挙げた問い以外にも、アメリカでは連邦議会の議員が「自分は科学者ではないからわからない」と主張し、不確実性を基に気候変動対策に反対を表明していますが、政策を決める立場にある者がこのような主張をして対策が遅れることによって起こる被害に対する責任はないのか?という問いもあります。これはアメリカだけでなく、国内でも海外でも化石燃料による火力発電所建設を続け、多額の税控除や投融資をしている日本にも当てはまります。

  次回は、COP21ですべての参加国が気候変動対策に同じ実行責任を負うようになったものの、根強く残っている「他国が本格的な気候変動対策を取らない限り、自国も対策を講じる必要がない」という主張に対する倫理/公正の観点からの問いを挙げたいと思います。

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