気候変動対策に反対する人たちが答えるべき倫理/公正に関する質問: 他国との兼ね合い編

  気候変動対策実施に反対する理由としてよく見聞きする「経済的損失」「科学的不確実性」そして「他国が同様の気候変動対策を講じない」について、倫理的/公正的観点から問いを投げかける記事を3回に分けて書いているのですが、今回はその3回目、「他国が同様の気候変動対策を講じない」ことを理由に気候変動対策に反対する人や団体が問われるべき倫理/公正に関する事項を挙げていきます。

【これまでの記事】
気候変動対策に反対する人たちが答えるべき倫理/公正に関する問い: 経済コスト編
気候変動対策に反対する人たちが答えるべき倫理/公正に関する質問: 科学的不確実性編

C. 他国が気候変動対策を講じないことを理由に、政府による気候変動対策に反対する人/団体が答えるべき倫理/公正に基づく問い

1. 公正な負担を分け合うレベルになるように温室効果ガス排出を削減する責任と義務を、世界中のどの国も負っていないと主張するのですか?

2. もしもあなたが「中国が気候変動対策を講じるまではアメリカや日本などの先進諸国に気候変動対策を実施する義務はない」と主張する場合、「アメリカが温室効果ガス削減策を実行するまで中国には温室効果ガスを削減する義務がない」ことに同意しますか?

3. 「中国をはじめとする新興途上国が気候変動対策を実施するまでは、先進諸国だけが行動しても意味がない」という主張をする場合、中国やその他の途上国が対策を講じるのを待っている間に先進諸国が排出する温室効果ガスは公正な負担を分け合うレベルを超えるもので、それによってさらに大気中の温室効果ガスが上昇し、温暖化が進むことを認識していますか?

4. アメリカが1992年のUNFCCC(気候変動枠組条約)において、人間活動による気候システムへの危険な影響を予防するための対策として、「共通だが異なる責任の原則」に基づき、先進諸国が温室効果ガス削減の実施を先導することに合意したことをご存じですか?

5. 慣習国際法において、ある国が自国の法的権限の及ぶ地域内で行う人間活動が、その区域を越えて他の国や地域の環境を破壊するようなことがあってはならないという義務があることを知っていますか?

Historical emissions by WRI.jpg
1850年から2011年までの国別累積二酸化炭素排出量(%)
Credit: World Resource Institute
Per capita emissions by WRI.jpg

2011年における国民ひとりあたりの二酸化炭素排出量が最も多かった10ヶ国(単位: tCO2e)
Credit: World Resource Institute
6. 産業革命以降の累積二酸化炭素排出量や国民ひとりあたりの二酸化炭素排出量を基準にした場合(上のグラフを参照して下さい)、中国をはじめとする途上国よりもアメリカなどの先進諸国の方が温室効果ガスの濃度上昇に著しい影響を与えていることを認識していますか?



  3回に分けて、政府による気候変動対策に反対する人や団体が掲げる主な理由に対する倫理/公正の視点からの問いを挙げてきましたが、このような視点を他ならぬ先進諸国の政府が最も軽視したり無視している現状が、この問題がいかに深刻かを表していると思います。

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