任期の最終年を迎えたオバマ大統領は、先日行われた最後の一般教書演説でも気候変動問題でレガシーを残す意欲を見せましたが、その3日後に公有地をリースして行う新規の石炭採掘を一時停止すると発表しました。ただし、現在既に開始している石炭採掘は続けることができるため、オバマ政権は国内のエネルギー供給に問題が生じることはないだろうと見ています。
2014年の時点で、アメリカの公有地ではリースプログラムによる石炭採掘が308ヶ所で行われており、国内における石炭の総生産量の約40%が公有地で採掘されています。言うまでもなく、石炭を燃やすと、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されます。石炭を含む化石燃料燃焼による温室効果ガスの排出量は、国内の総排出量の約31%を占め、最も多い排出源となっています。
オバマ政権は、以前から公有地での石炭採掘プログラムは「2025年までに二酸化炭素の排出量を2005年比で28%削減する」「2030年までに、現存する石炭火力発電所からの二酸化炭素排出量を32%削減する」という気候変動対策のゴールの妨げになると主張しており、今回の新規採掘の一時停止は、目標を達成するための対策の一環とみられています。
オバマ大統領は、1月12日の一般教書演説での「私は、納税者と地球にかけている負担をより反映させるために、石油と石炭資源の管理方法の変更を推し進めるつもりです。」という自身の言葉を実行に移したことになります。
2014年には、政府は石炭を採掘する企業に対する公有地のリース料(1エーカーあたり3ドル)と、ロイヤリティ(採掘時の石炭の市場価格)とその他の諸費用を合わせて総額約12億ドル(2014年の年間平均為替レートで約1320億円)を徴収しているのですが、この市場価格の設定が実際の市場価格を下回っているという政府機関のレポートがあります。
また、石炭が排出する二酸化炭素の社会的コストは1トンあたり約40ドルになるとの見方もあり、これらの事情を踏まえて現行のリースプログラムが大きく見直される可能性が高く、たとえ数十ドルの社会的コストを反映させることができなくても、二酸化炭素排出量1トンあたり数ドルを徴収するだけで、石炭の市場価格高騰による他エネルギーとの競争力の低下、生産量の減少、投資家による石炭産業離れなどが、結果的に二酸化炭素排出量の削減に繋がるとオバマ政権は見ているようです。
現行のプログラムは企業間による自由競争が行われておらず、一般市民からは見えない状態でプロセスが行われており、よりオープンで競争を伴うプログラムに改めることで、納税者と自然環境に還元させることが重要だとと関係者は述べています。
アメリカでは、ここ数年のシェールブームに加え、太陽光と風力の再生可能エネルギーの台頭によってエネルギーのコストが下がり、石炭火力の競争力は落ちてきているのですが、政策による圧力が加わることで、石炭産業の競争力はさらに低下すると思われます。
2014年の時点で、アメリカの公有地ではリースプログラムによる石炭採掘が308ヶ所で行われており、国内における石炭の総生産量の約40%が公有地で採掘されています。言うまでもなく、石炭を燃やすと、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されます。石炭を含む化石燃料燃焼による温室効果ガスの排出量は、国内の総排出量の約31%を占め、最も多い排出源となっています。
オバマ政権は、以前から公有地での石炭採掘プログラムは「2025年までに二酸化炭素の排出量を2005年比で28%削減する」「2030年までに、現存する石炭火力発電所からの二酸化炭素排出量を32%削減する」という気候変動対策のゴールの妨げになると主張しており、今回の新規採掘の一時停止は、目標を達成するための対策の一環とみられています。
オバマ大統領は、1月12日の一般教書演説での「私は、納税者と地球にかけている負担をより反映させるために、石油と石炭資源の管理方法の変更を推し進めるつもりです。」という自身の言葉を実行に移したことになります。
2014年には、政府は石炭を採掘する企業に対する公有地のリース料(1エーカーあたり3ドル)と、ロイヤリティ(採掘時の石炭の市場価格)とその他の諸費用を合わせて総額約12億ドル(2014年の年間平均為替レートで約1320億円)を徴収しているのですが、この市場価格の設定が実際の市場価格を下回っているという政府機関のレポートがあります。
また、石炭が排出する二酸化炭素の社会的コストは1トンあたり約40ドルになるとの見方もあり、これらの事情を踏まえて現行のリースプログラムが大きく見直される可能性が高く、たとえ数十ドルの社会的コストを反映させることができなくても、二酸化炭素排出量1トンあたり数ドルを徴収するだけで、石炭の市場価格高騰による他エネルギーとの競争力の低下、生産量の減少、投資家による石炭産業離れなどが、結果的に二酸化炭素排出量の削減に繋がるとオバマ政権は見ているようです。
現行のプログラムは企業間による自由競争が行われておらず、一般市民からは見えない状態でプロセスが行われており、よりオープンで競争を伴うプログラムに改めることで、納税者と自然環境に還元させることが重要だとと関係者は述べています。
アメリカでは、ここ数年のシェールブームに加え、太陽光と風力の再生可能エネルギーの台頭によってエネルギーのコストが下がり、石炭火力の競争力は落ちてきているのですが、政策による圧力が加わることで、石炭産業の競争力はさらに低下すると思われます。
Credit: Scientific American
また、それを反映するように、2015年の石炭の生産量は1980年代以来、約30年間で最低になり(上の2001年から2015年までのアメリカの石炭生産量のグラフを参照)、2016年に入り、全米で二番目に大きな石炭企業が倒産を申請するなど、長い目で見ると石炭産業の衰退はもう避けられないところまできていると言っていいでしょう。
【参照】
Citing Climate Change, Obama Halts Federal Coal Leasing|Climate Central
In Climate Move, Obama Halts New Coal Mining Leases on Public Lands|The New York Times
U.S. Coal Production Hits 30-Year Low|Scientific American
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