1997年から98年にかけて猛威を振るった史上最強のエルニーニョ現象と並ぶ規模まで強くなった、2015年に始まったエルニーニョが、ようやくピークを過ぎました。今後は、ニュートラルに戻ると予測されている初夏に向けてゆっくりと勢力を弱めていくことになると思いますが、その影響はまだピークを迎えておらず、今後も世界各地で豪雨や洪水、干ばつなどの被害が出ることが懸念されます。
2015年10月28から2016年1月13日までの赤道太平洋付近における海面温度の平均偏差(℃)
Credit: NOAA
この地図を見る限りでは、12月から1月にかけて海面温度が下がり始めているようです。グラフで確認すると、ピークを過ぎたであろうことがさらによくわかります。
(左)上のGIF動画の後半4週間分の静止画像
(右)赤道太平洋付近における1年間の海面温度の平均偏差の変化
Credit: 共にNOAA
左の地図は上のGIF動画の直近4週分の静止画像で、右のグラフは過去1年間の赤道太平洋付近における海面温度の平均偏差の変化を表しています。右側のグラフの赤く囲んだ部分(エルニーニョの強さの指標とされているニーニョ3.4地域)を見ると、12月にピークを迎え、海面温度が下がり始めていることがわかります。
Credit: International Research Institute
今後は、ゆっくりと海面温度が下がり、5月から6月にかけて通常の状態に戻る見込みです。そして、このグラフを見る限りではまだわかりませんが、エルニーニョ現象とセットになっているラニーニャ現象(エルニーニョと逆の現象)へと移っていくと思われます。グラフでは、青のバーの確率が「SON(9月から11月)」に向かうにつれて上昇しています。
ピークを過ぎたといっても、エルニーニョの影響は数ヶ月遅れて現れるため、異常現象が原因で大きな被害が出ないことを祈るのみです。
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