前回は、北極を例に挙げ、基本的に「気温が低い場所ほど温暖化は速く進む」という話をしました。今回は、「気温が低い季節ほど温暖化が速い」という話です。これも前回と同じく、気温が上昇傾向にあるときは、基本的に大半の場所で当てはまるということで、すべてのケースで同じ現象が見られるわけではありません。
1950年から2014年までの季節ごと(緑の破線が春、赤線が夏、オレンジの線が秋、青線が冬)の世界平均気温(単位: 華氏)。それぞれの季節のバックグラウンドの薄い実線は、20世紀の平均気温。グラフ内の小さなグラフは、1895年から2014年までの気温上昇の傾向(単位: 華氏)。Credit: NOAA
上のグラフは、1950年から2014年までの、季節ごとの世界平均気温の変化を表したものです。グラフ内の小さなグラフは、1895年から2014年までにそれぞれの季節の気温が何度上昇したのか、傾向を示しています。
折れ線グラフを見ると、年によって様々なバリエーションがありますが、いずれの季節にも気温の上昇が見られます。暑い季節と寒い季節を比較すると、近年の夏(6月から8月)の平均気温が20世紀の夏の平均気温に比べて約1℃しか高くないのに対し、近年の冬(12月から2月)の平均気温は20世紀の冬の平均気温よりも約2℃高くなっています。グラフ内の小さな傾向を示すグラフを見ると、1895年以降夏の平均気温が約0.6℃しか上昇していませんが、冬の平均気温は同期間内に約1.2℃と、夏よりも2倍の速さで上昇しています。
最初に述べたように、すべての場所で夏や秋、春よりも冬の気温上昇が速いわけではありません。アメリカ本土の各州の傾向を見てみましょう。
1970年から2014年の季節ごとの平均気温の変化の傾向を元にアメリカ本土各州の最も温暖化している季節(緑が春、赤が夏、オレンジが秋、青が冬)を表示。Credit: Climate Central
このインタラクティブマップは、アメリカ本土の各州で、どの季節が最も速く温暖化しているかを表しています。マウスオーバーすると、州の名前と温暖化が最も速く進んでいる季節が英語で表示されます。東部や北東部、南東部、中西部、そして中部は先ほどの例の通り、冬の温暖化が速くなっていますが、南西部から西部にかけては春、北西部は秋が最も速く温暖化しています。
そして、テキサス州だけ、夏の温暖化が最も速く進んでいます。なぜなのかは不明です。「Lone Star(ひとつ星の州)」のニックネームを持つ、かつては独立国だった州なので、ポツンとひとつだけ違う色なのはテキサス州らしいと言えるかもしれません。
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