気温が低い時間ほど温暖化が速く進む

  2回に渡って、気候変動による気温上昇の傾向としてよく見られる「気温の低い場所ほど温暖化が速く進む」「気温の低い季節ほど温暖化が速く進む」というトピックを取り上げてきましたが、最後は「気温の低い時間ほど温暖化が速く進む」傾向について書きたいと思います。

  このトピックは以前にも触れたことがありますが、今回は違うグラフを用いて説明します。

1900-2015 US Max and Min Temp Comparison.jpg
1900年から2015年までの米本土48州(アラスカ州とハワイ州以外)の年間平均最高気温と年間平均最低気温の比較(単位: ℃)。赤線は年間平均最高気温、青線は年間平均最低気温。赤の破線は年間平均最高気温のトレンドライン、青の破線は年間平均最低気温のトレンドライン。グラフ左側の縦軸は最高気温、右側の縦軸は最低気温。米海洋大気局(NOAA)より平均最高気温平均最低気温のデータをダウンロードして作成。

  上のグラフは、1900年から2015年までの米本土48州における最高気温と最低気温の平均を比較したものです。最高気温は1世紀につき約0.68℃、最低気温は同約0.84℃上昇しており、わずかではありますが、最低気温の上昇の方が速くなっています。

  しかし、データを提供しているNOAAでトレンドラインの期間を気候と呼べる条件を満たす直近30年と直近50年に設定すると、最高気温と最低気温はほぼ同じ速さで上昇しています。

U.S. summer_extremelywarm_minmax.jpg
1910年以降の米本土48州の夏期における極端な暑さの夜(最低気温の中で最も高い気温の上位10%)と、極端に暑い昼間(最高気温の中で最も高い気温の上位10%)の影響を受けた面積の割合(単位: %)。
Credit: NOAA

  上のグラフは、米本土48州の全面積のうち、夏(6月から8月)に極端な暑さの夜と極端に暑い昼の影響を受けた割合を表しています。「極端」は、それぞれ1910年以降の上位10%の記録を指します。つまり、1910年以降の平均気温の記録で上位10%に入る暑さの影響を受ける面積が大きいほど、気温が上昇傾向にあることを示します。下位10%に入る涼しさの影響を受ける面積の減少も、温暖化が進行していることを示します。

  1970年代以降、昼間の極端な暑さにさらされる面積よりも、夜間の極端な暑さの影響を受ける面積の方が大きくなってきています(グラフの縦軸の最大値が夜間は60%、昼間は50%になっているのでイメージするのがちょっと難しいかもしれませんが)。このことから、昼間よりも夜間(気温が低い時間)の温暖化の方が速く進んでいることがわかります。

U.S. summer_extremelycool_minmax.jpg
1910年以降の米本土48州の夏期における極端に涼しい夜(最低気温の中で最も低い気温10%)と、極端に涼しい昼間(最高気温の中で最も気温が低い10%)の影響を受けた面積の割合(単位: %)。Credit: NOAA

  このグラフは、先ほどのグラフの逆で、夏の昼間と夜間に、極端に低い気温の影響を受けた面積の割合を示しています。こちらのグラフの方がわかりにくいですが、極端に涼しい夜の方が、極端に涼しい昼と比較してより減少傾向にあり(というかほとんどなくなってきている)、先ほどの例と同じく、気温の低い時間の方が温暖化の進行が速いことを示しています。

  このように、前回と前々回の記事も合わせ、気温の低い「場所」、「季節」、そして「時間」における気温の変化に、温暖化のサインを見ることができるのです。

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