2年連続で観測史上最高を記録した世界の平均気温は、2020年までの5年間も上昇を続けるだろうという予報を、英気象庁が発表しました。
英気象庁が2007年から毎年更新している気温の長期予報によると、2016年から2020年までの5年間のそれぞれの世界平均気温は、1981年から2010年までの平均気温よりも0.28℃から0.77℃高くなる可能性が高いとしています。
黒の線は観測データ(HadCRUT4、GISS、NCDC)、右上の青いエリアは予測に基づく世界平均気温の偏差(単位:℃、基準は1981年から2010年の30年間)。赤いエリアは、以前の長期予報による予想範囲。色の濃さはコンフィデンスレベルを表す。長期予報の始点は2015年11月。すべてのデータは12ヶ月の平均値による。
Credit: 英気象庁
観測史上最高を記録した2015年の世界平均気温が、1981年から2010年までの平均気温と比較して0.44℃高かったこと、そしてその2015年が2014年の記録(2015年に次いで観測史上2番目に暖かい年)を大きく更新したことを考慮に入れると、今後5年の間にそれを上回るのは、温暖化の加速を意味します。
1998年の世界平均気温は、史上最強と言われているエルニーニョの影響を受けて当時の観測史上最高を更新しましたが、その記録はその後7年間破られることはありませんでした。英気象庁は、それを上回る速さで気温が上昇すると予想していることになります。
英気象庁は、今後も続くと思われる気温上昇の原因は、上昇を続ける空気中の二酸化炭素濃度であるとしていますが、それ以外にも2015年から始まったエルニーニョ現象、長期的傾向が負位相から正位相へと転換した太平洋十年規模振動、そして大西洋数十年規模振動なども気温上昇の要因になると指摘しています。これからの5年間で、大規模な火山の噴火やラニーニャ現象の発生と発達、大西洋数十年規模振動の負位相への転換などの一時的に気温を下げる現象が起こらない限り、記録的に暖かい年が続き、今後2年間で気温上昇のペースは20世紀後半と同じレベルに戻るそうです。
ただし、5年から10年という短期間における自然変動を正確に予測するのは大変困難なため、英気象庁の長期予報はまだリサーチの段階にあるというのが専門家の見解のようです。例えば、今年中に始まるであろうエルニーニョの逆の現象であるラニーニャによって、2017年は2016年よりも気温が低くなると予想する気候科学者もいれば、高い確率で2016年が2015年の記録を破って観測史上最高を記録するという英気象庁の予想に対し、エルニーニョによる影響のピークはもう過ぎているため、2015年よりも涼しい年になると指摘する気候科学者もおり、5年以内の気温の変動予測を政策決定の判断材料とするにはまだ不確かな点が多いようです。
しかし、長期的に見れば気温は上昇傾向にあり、それが今世紀中に変わることはないでしょう。
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