米オクラホマ州で地震が激増  フラッキングが原因

  シェールガス/シェールオイルを採掘する方法であるフラッキング(水圧破砕法)の仕組みとその問題点については以前に記事にしました。

  その記事内でも挙げましたが、近年オクラホマ州などで激増している地震の原因は、フラッキングを行った油井に注入する、フラッキングに使用した廃液にあるという研究結果が相次いでいます。

  しかし、オクラホマ州や同じくフラッキングが原因と言われる地震が増えているテキサス州などは、石油・ガス産業と州政府・州議会の結びつきが強いため、フラッキングによるシェールガス/シェールオイルの採掘が原因であることを認めようとせず、市や郡が独自にフラッキングを禁止できないような州法を定めるなど、石油・ガス産業に有利な政策を採っています。

  過去に地震が相次いで起こっていた場所でもなく、近くでフラッキングが行われているという事実を総合すれば、なぜ「フラッキングが原因ではない」と言い張ることができるのかわかりません。

  どれくらい地震が増えているのか、地図とグラフを見れば一目瞭然なので見てみましょう。

Central U.S.arthquakes 1976 - Jan 2016.png
Credit: USGS

  上のグラフと地図は、米国地質調査所によるものhttp://earthquake.usgs.gov/research/induced/で、1973年から2016年1月までにアメリカ中部と東部で起こったマグニチュード3以上の地震を表しています。グラフの青線と地図上の青い点は1973年から2008年までの地震を、赤線と赤い点は2009年から2016年1月までに起こったマグニチュード3以上の地震を示しています。1973年から2008年までの間に起こったマグニチュード3以上の地震が855回だったのに対し、2009年から2016年1月までに起こったマグニチュード3以上の地震は2310回を数えます。2008年までは年間平均約24回だったマグニチュード3以上の地震が、それ以降に年平均で300回を超えるまでに激増しています。

OklahomaEQsBarGraph.png

  上のグラフは、同じく米国地質調査所によるもので、オクラホマ州で起こったマグニチュード3以上の地震の数を表しています。2009年から増え始めた地震が、2014年には584回に激増しています。グラフは2015年の4月までで、それ以降は推定(赤い部分)になっていますが、米国地質調査所によると、2015年はマグニチュード3以上の地震が合計で907回起こったそうです。


  オバマ大統領は、これらの地震を受け、連邦政府の施設が規模の大きな地震に備えることができるようにするための大統領命令に署名しています。

  また、これまでになかった規模の地震によって家屋の一部損壊などの被害を受けた住民が、「人為的地震」であることを理由に保険会社から修繕費用の支払いを拒否されるケースが相次いでおり、今後はすでに増えてきているガス採掘企業を相手取った訴訟が増えることが予想されます。

  これは、オクラホマ州だけの問題ではなく、また、地震だけが問題ではありません。「シェールブーム」の陰では、これ以外にも水質汚染や健康被害などの環境正義問題も起こっています。


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