2015年が観測史上最も暑い年になったのはまだ記憶に新しいところですが、米航空宇宙局(NASA)と日本の気象庁によると、2016年1月の世界平均気温は、同月としては観測史上最高を記録し、引き続き地球温暖化とエルニーニョの影響で世界は記録的な暖かさになっています。
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。
Credit: 気象庁
まず、気象庁によると、グラフを見ればわかる通り、2016年1月の世界平均気温は、同月としては1891年の観測開始以来最高を記録し、1981年から2010年の平均気温との偏差は+0.52℃(20世紀の平均気温との偏差は+0.91℃)と、1月の偏差としては過去最高を記録しました。なお、過去に最も偏差が大きかったのは2015年12月の+0.66℃でした。1月は、2015年11月(+0.54℃)、同10月(+0.53℃)に次いで観測史上4番目に大きな偏差を記録しています。
2016年1月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)
Credit: NASA
また、NASAのデータでも、2016年1月の世界平均気温は観測史上最高を記録しています。日本の気象庁の速報値とは異なり、NASAの1月世界平均気温の偏差は+1.13℃(基準は1951年から1980年)と、1月としても、1月から12月までのすべての月としても観測史上最も大きな偏差となりました。過去の最も大きな偏差は、2015年12月の+1.11℃、次いで同年10月の+1.06℃、11月の+1.02℃が続いています。
2016年1月の世界平均気温偏差の緯度別グラフ(基準は1951年から1980年。Zonal Meanの単位は℃。グラフ横軸の目盛りのマイナスは南半球、プラスは北半球)
Credit: NASA
先ほどのNASAの地図でもわかるのですが、北半球の高緯度地域(特に北極圏)の気温の高さが尋常ではありません。1951年から1980年の平均気温と比較して7℃以上高くなっており、12℃以上高い地域もありました。
2015年11月以降の北極海の海氷面積の変化(単位: 平方キロメートル)
Credit: NSIDC
この異常な暖かさの影響を受けて北極海の海氷も減少しています。2016年1月の平均海氷面積は衛星による観測史上最小を記録し、これまで最小だった2011年1月を約9万平方キロメートル(北海道の面積が83,424平方キロメートル)下回りました。1979年から2000年までの平均海氷面積よりも約105万平方キロメートル小さく、日本の国土の約2.8倍の海氷を失ったことになります。
北極の温暖化、そして海氷の減少が中緯度地域の極端な気象現象の原因になっているという研究結果の発表が相次いでおり、その動向と影響が懸念されています。
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