2015年は、世界の平均気温が観測史上最高を記録し、産業革命前からの気温上昇が1℃を初めて超えた年でもありましたが、二酸化炭素濃度が最後の300ppm台を記録し、400ppmを超えるのが日常になってしまった年でもありました。
また、2015年から始まった今回のエルニーニョと並んで史上最強レベルと言われる1997年から98年にかけて起こったエルニーニョ発生時に大幅に二酸化炭素濃度が上昇したことから、今回も大きく上昇するのではないかと予測されていました。
1996年中旬から1999年中旬までの平均二酸化炭素濃度(単位: ppm)
Credit: Climate Central
上のグラフは、1996年から1999年半ばまでの二酸化炭素濃度を表しています。1997年9月から1998年の9月にかけて、1年間で3.7ppm二酸化炭素濃度が上昇しています。これが、1年間の二酸化炭素上昇幅の最高記録でした。
この記録を、2016年2月が破りました。
2012年から2016年2月までのハワイ州マウナロア観測所における平均二酸化炭素濃度(単位: ppm)
Credit: NOAA
2015年2月の平均二酸化炭素濃度が400.26ppmだったのに対し、2016年2月の平均二酸化炭素濃度は404.02 ppmと、1年間で3.76ppm上昇し、観測史上最大の上昇幅を記録しました。
また、暦の上での1年間(1月から12月)における二酸化炭素濃度上昇幅でも、2015年は3.09ppmと、過去最大だった1998年の2.82ppmを上回り、観測史上最大でした。
399ppmが400ppmに、400ppmが404ppmになったからといって、すぐに極端な気候の変化に繋がるわけではありませんが、産業革命前(280ppm)と比較すると、二酸化炭素濃度は120ppm上昇し、気温上昇も2100年までの国際的な上昇幅の目標である「2℃未満」の半分の1℃を超えています。島しょ国などを含む後発開発途上国の意向を汲んだ努力目標である「1.5℃未満」は現状ではほぼ達成不可能です。
私たちが生きている間に、もう二度と300ppm台の二酸化炭素濃度の記録を見ることはできません。でも、もしかすると500ppmの世界を経験することはできるかもしれません。
【あわせて読んでほしい記事】
この記事へのコメント