衛星によるデータ(UAH)と米航空宇宙局(NASA)に続き、日本の気象庁の発表でも、2016年2月の世界平均気温が同月としての観測史上最高を記録しました。
細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。
Credit: 気象庁
2016年2月の世界平均気温の偏差(基準年は1981年から2010年)は+0.62℃と、2月としては過去最高となり、この偏差は2015年12月の+0.66℃に次ぐ2番目の大きさとなりました。20世紀の平均気温との偏差は+1.04℃と、2015年12月と同じ値を記録しています(気象庁が公開しているデータでは小数点第2位までしか確認できないため、どちらの値の方が大きいのかは不明です)。気象庁のデータで20世紀の世界平均気温との偏差が1℃を超えたのは、2015年12月に次いで2度目です。
また、これで2015年5月から10ヶ月連続でそれぞれの月における観測史上最高の世界平均気温を更新しており、私たちは最も暖かい10ヶ月間を過ごしたことになります。そして、気象庁のデータでも最も暖かい冬(2015年12月から2016年2月)になりました。
NASAと比較すると、気象庁の方が20世紀の平均気温との偏差が小さくなっています(NASAの2月と20世紀の世界平均気温との偏差は+1.35℃。1951年から1980年との偏差と小数点第2位までは同じですがそれ以下の値がわかりません)が、これはデータ補正等による算出方法が異なるためです。
世界の平均気温は、2014年、2015年と2年連続で観測史上最高記録を更新してきました。2016年に入ってまだ2ヶ月分しかデータはありませんが、今年のスタートがいかに異常か、気象庁の記録で最も暖かかった7年と比較してみました。
1981年から2010年までの世界平均気温との偏差。破線はエルニーニョ現象が起こった翌年(1997年から98年、2009年から10年、そして今回の2015年から16年)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)
Credit: 気象庁
上のグラフは、1981年から2010年までの世界平均気温との偏差を表したものです。破線は、それぞれエルニーニョ現象が始まった翌年の、気温がエルニーニョの影響を最も受けている年です。
グラフの一番上の赤い破線が2016年です。先述したように、まだたった2ヶ月ですが、昨年と一昨年の記録がかすんでしまう暖かさになっています。過去のエルニーニョの年とも比較になりません。エルニーニョ自体の強さでは1997年から98年と今回はほぼ同じ(今回の方が弱いと言う専門家の方が多い印象はあります)なので、上乗せされている気温の大部分を温暖化の影響が占めていると考えていいと思います。それは、エルニーニョとは無関係だった2014年、エルニーニョの1年目にあたる2015年が観測史上最高を記録したことにもあらわれていると言えるでしょう。
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