NOAAも2016年2月の世界平均気温は観測史上最高だったと発表

  人工衛星(UAH)気象庁米航空宇宙局(NASA)に続き、米海洋大気局(NOAA)のデータでも、2016年2月の世界平均気温が、2月としては観測史上最高を記録しました。また、20世紀の平均気温からの偏差も昨年12月の記録を更新し、137年のすべての月の中で「最も異常に暖かい月」になりました。

NOAA Global Land and Ocean Temperature Anomalies 2016-02.jpg
2016年2月の世界平均気温の20世紀の平均気温との偏差。単位は左側が摂氏、右側が華氏。

  ひと言で表現するとすれば、2月は「記録尽くめ」の月になりました。まず、20世紀の世界平均気温を1.21℃上回って観測史上最も暖かい2月になりました。この+1.21℃という偏差は、昨年の2月を0.33℃上回って観測史上最高を記録(上のグラフの黒い丸で囲んだ部分を見れば、今年の2月がどれだけ異常かは一目瞭然)しただけでなく、NOAAが気温の観測を開始して以来、137年間のすべての月を含めて最大で、昨年(2015年)12月が記録した+1.12℃を0.09℃上回りました。

  そして、20世紀の平均気温との偏差が観測史上最も大きかった上位6つの記録は、昨年9月から今年2月までの6ヶ月間に集中しています。さらに、2015年5月から今年2月まで、10ヶ月間連続でそれぞれの月が観測史上最高の平均気温を記録しました。つまり、私たちは137年で最も暖かい10ヶ月を過ごしたことになります。

  また、考えなくてもわかることですが、その他の機関のデータと同じく、観測史上最も暖かい冬(12月から2月)になっただけでなく、3ヶ月間の偏差としても観測史上最高(+1.13℃)を記録し、昨年を0.29℃上回って「最も異常に暖かい3ヶ月間」になりました。2015年の6月から8月、9月から11月も観測史上最高だったので、これで世界は最も暖かい夏、秋、そして冬を過ごしたことになります。秋や冬を感じることのできない地域がたくさんあったのではないでしょうか。

  まだ続きます。2月の世界の陸地における平均気温の偏差は+2.31℃で、1998年と2015年の記録を0.63℃上回り、過去最も陸地の気温が高い2月になりました。そして、この偏差は2008年の3月を0.43℃上回り、観測史上最も陸地の気温の偏差が大きな1ヶ月間となっています。陸地だけでなく、海洋も2月としては観測史上最高を記録し、偏差の+0.81℃は従来の記録である1998年と2015年を0.36℃上回りました。

  さらに続きます。北半球と南半球もそれぞれ最も暖かい2月に、また、それぞれの陸地と海洋が観測史上最高の平均気温を記録しました。また、12月から2月までの3ヶ月間も、海洋、北半球と南半球、そしてそれぞれの半球の陸地と海洋の平均気温がすべて冬としては最高を記録しています。

  NOAAによると、南極大陸だけが記録を破らなかったそうです。

201602 Land and Ocean Temp Departure from Average.gif
2016年2月の世界の陸地と海洋における1981年から2010年までの世界平均気温との偏差を表した世界地図。地図下のカラーバーの単位は摂氏。

  上の地図を見れば、米アラスカ州、カナダの一部、ロシア、東ヨーロッパ、南ヨーロッパがおかしなことになっているのがよくわかると思いますが、この濃い赤を地図下部のカラーバーで確認すると、NOAAは偏差の最大値を「+5℃以上」にしているため、いったいこれらの地域が5℃をどれくらい上回っているのかが確認できません(NOAAのレポートでは、アラスカ州の2月の平均気温は平年を6.9℃上回っています)。つまり、NOAAはこの地図を最初に作成したときには、「+5℃で足りる」と思っていたのかもしれません。これはもう色を足してもらうしかないでしょう。

  ついでに、気象庁のデータを用いて作成したのと同じように、NOAAの気温のグラフを載せておきます。NOAAのデータでも、今年に入ってからの2ヶ月が異常なことがわかります。

NOAA Year-To-Date Global Temperature Anomalies as on 2016-02.gif
2016年を含むそれ以前の観測史上最も暖かかった8年のそれぞれの月までの偏差(基準は20世紀の平均気温)の平均

  メジャーな気象機関による世界平均気温の発表はこれでひと通り終わりました。総括すると、この2月、そしてこの冬は何もかもが規格外だったと言えるでしょう。エルニーニョの影響を受けているものの、それはわずかでしかなく、大部分が温暖化の影響によるものと考えた場合、今後ここまで極端な暖かさが続くことはなくても、極端に平均気温が下がることもないと思われますが、もう数年前とも大気と海洋の状態が違うため、長期的に気温が上昇傾向にあること以外、確かなことはわかりません。今年の後半からエルニーニョとは逆の現象であるラニーニャが始まれば、少しは平均気温を下げてくれるかもしれません。

  とにかく今はこれが「新しいノーマル」ではないことを願うしかありません。

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