米世論調査会社のギャラップ社によると、地球温暖化を心配するアメリカ人が著しく増加しました。また、温暖化の原因が人間活動であると考える人も増加しています。
「どれくらい温暖化について心配しているか?」という質問に対して、「ものすごく心配している(37%)」「かなり心配している(27%)」と答えた人の合計は64%と、前回の55%から著しく増加しました。
「温暖化の影響が現れるのはいつか?」という質問に対しては、「すでに現れている」と答えた人が59%と前回の調査よりも4%増加、「数年のうちに現れ始める」「生きている間に現れる」「生きている間ではないが将来的に温暖化の影響が現れる」と答えた人の合計が31%、「温暖化の影響は出ない」と答えたのはわずか10%と前回から6%減少しました。つまり、90%の人たちが温暖化の影響は現れている/いつか現れると感じていることになります。
「あなたが生きている間に、地球温暖化があなた若しくはあなたの生き方にとって深刻な脅威になると思いますか?」という質問に「なる」と答えた人は前回から4%増加して41%、「ならない」は5%減少して57%と、2010年に35%あった両者の差は6年で19%縮まっています。
「あなたが読んだり聞いたりした情報から、あなたは20世紀の気温上昇の原因は人間活動だと思いますか?それとも自然変動だと思いますか?」との質問に対し、「人間活動が原因」と答えた人が前回から10%増加して65%、「自然変動が原因」と答えた人は10%減少して31%でした。2010年には両者の差が4%しかありませんでしたが、その後の6年間でその差は30%と急激に拡大しています。この「人間活動が原因」と考える人の割合(65%)は、2001年の調査で初めてこの質問がされて以来最高の数値となり、34%という両者の差も、過去最大となっています。
気候変動の捉え方はイデオロギーに左右されるため、支持する政党によって意見が大きく分かれるのですが、今回の調査でもその傾向に変化は見られませんでした。共和党支持者のそれぞれの質問に対する答えの数字はまだまだ目を覆いたくなるくらい低いですが、これまで温暖化に否定的な見解を示してきた共和党支持者の中にも、温暖化を深刻な問題として捉える人の増加が見られます。
このような変化の原因は、2009年に気候変動否定派が事実をねじ曲げて作り上げた「クライメイトゲート」や、エクソンモービル社やコーク兄弟が多額の資金を用いて議員やシンクタンク、メディアを使って気候変動の科学や気候科学者に疑念を投げかけてきた影響を受けて温暖化を信じてこなかった人たちが、ここ数年の極端な気象現象の多さや、今年の冬がアメリカにとって観測史上最も暖かかったことなどから温暖化を実感し、より深刻な問題として捉えるようになってきたからであると言えるでしょう。
常々感じてきたことですが、その影響が「個人的な問題」になってはじめて、人は気候変動について真剣に考え始めるのだと思います。
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