国連環境計画の報告書「Global Trends in Renewable Energy Investment 2016」によると、2015年の再生可能エネルギーへの世界の総投資額は2860億ドル(約32兆3000億円)にのぼり、過去最高額を達成したそうです。また、その半分以上を発展途上国が投資しており、初めて先進国の投資額を上回りました。
2004年以降から2015年までの再生可能エネルギーへの投資額(単位: 10億ドル)
2015年の再生可能エネルギーへの投資額は、これまで最高だった2011年を約3%上回って過去最高となりました。
2008年から2015年までの再生可能エネルギー、化石燃料、原子力発電、大規模水力発電への投資額(単位: 10億ドル)
また、2015年に導入された大規模水力を除く再生可能エネルギーのキャパシティは全体の53.6%と過半数を超え、石炭やガスなどの火力発電や原子力発電を大きく上回りました。
2004年から2015年までの、先進国(Developed)と途上国(Developing)における再生可能エネルギーに対する総投資額の比較(単位: 10億ドル)
2015年に再生可能エネルギーへの投資額が過去最高に達したのは、発展途上国での投資額の増加のおかげと言えるでしょう。上のグラフを見ると、先進国の投資額が減少したのに対し、途上国の投資額は大きく増加しています。
再生可能エネルギーへの投資額が多い国トップ10。右側の%表示は成長率(単位: 10億ドル)
上のグラフは、再生可能エネルギーへの投資額が最も多かった10ヶ国です。途上国の中でも、中国とインドの投資額が著しく増加しています。また、額は小さいものの、南アフリカの再生可能エネルギーへの投資は劇的な伸びを見せています。先進国の中では、シェールブームによって国内の原油生産が増加しているアメリカの再生可能エネルギーへの投資が着実に増加している一方で、ドイツは投資額がほぼ半減しています。日本は小規模な太陽光パネルの普及への投資が大部分を占め、世界で3位の投資額(362億ドル=4兆1千億円)でしたが、0.1%の微増に終わっています。
世界の地域ごとにおける再生可能エネルギーへの投資額(単位: 10億ドル)
世界全体の分布を見ると、中国の投資額の伸びが目を引く一方、ヨーロッパでの投資額の減少が目立ちます。中国とインドを除くアジア&オセアニア地域(ASOC)の数字は、日本の投資額が大半を占めています。
新規に導入されたエネルギーのキャパシティのうち、再生可能エネルギーが占める割合は急速に伸びていますが、世界全体の発電量における再生可能エネルギーの割合は約10%に過ぎません。
しかし、着実にエネルギーの構造改革が世界規模で進んでいると言っていいと思います。また、パリ協定の目標である産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるために、さらなる再生可能エネルギーの成長が不可欠なのは言うまでもありません。
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