(注)米国立雪氷データセンター(NSIDC)が海氷の観測方式を変更後、データ補正がなされたために、記事タイトルを変更しました。変更前のタイトルは「北極の海氷の冬季最大面積が2年連続で史上最小を更新」でしたが、データ補正に基づくと2015年の冬季海氷面積の方が小さかったため、2016年は観測史上2番目になりました。なお、本文は訂正・編集を行っていませんので、データ補正後の2015年と2016年の冬季最大海氷面積については、2017年の同データの発表に基づく記事(【北極】 海氷の冬季最大面積が観測史上最小を更新)で確認してください。
米国立雪氷データセンター(NSIDC)と米航空宇宙局(NASA)によると、冬に最大面積になる北極海の海氷が、北極圏の極めて異常な暖かさが原因で、昨年(2015年)に続いて2年連続で観測史上最小面積を記録しました。
その年の気候によってピークを迎える時期は違いますが、北極海の海氷は2月から4月の間に最大面積を迎えます。
12月から4月までの北極の海氷面積(2011年から2016年。単位は百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
北極の海氷は3月24日に最大面積となる1452万平方キロメートルまで成長し、昨年の1454万平方メートルをわずかに下回り、1979年の観測開始以来最小を記録しました。地球規模で「わずか」といっても、約2万平方キロメートルは大阪、京都、兵庫、滋賀の4府県の合計面積を上回る大きさです。また、最小記録の1位から13位までが過去13年間に集中しており、気候変動の影響が顕著に現れていることがわかります。
昨年12月から続いた北極圏の異常な暖かさと、1月と2月に南からの暖かい風が吹いたことも、海氷の成長を妨げる原因となったようですが、今後は海洋の温暖化も加わることによって海氷が形成されなくなっていくと予測されています。
これから夏(9月)に向かって海氷面積は縮小していきますが、冬の最大面積が過去最小だったからといって、夏の最小面積も観測史上最小を更新するとは限りません。現在、北極圏は過去に類を見ないレベルの異常な暖かさになっていますが、夏までに気温が下がれば、海氷の融解が進まないことも考えられます。
海氷面積の減少はさらなる温暖化に繋がって北極温暖化増幅を加速させ、その影響は北極圏だけでなく私たちが暮らす中緯度地域にも及ぶため、今後の融解ペースが気になるところです。
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