米世論調査会社のギャラップ社が3月に行った調査で、シェールオイル/ガスの採掘法であるフラッキング(水圧破砕法)に反対するアメリカ人が2015年の40%から急増し、過半数を超える51%になったことがわかりました。
昨年(2015年)の同時期に行った調査では、フラッキングに賛成する人と反対する人が共に40%と意見がハッキリと分かれていましたが、今年は反対する人が51%と、1年で11%増加しました。また、昨年は「意見はない」と答えた人が19%いましたが、今年は13%まで減りました。
支持政党別に見ると、フラッキングに賛成する共和党支持者が、2015年の66%から2016年は55%へと大きく減っています。それでも過半数を超える人がフラッキングに賛成していますが、無党派層(34%)と民主党支持者(25%)でフラッキングに賛成する人の減少幅が1%だったことを考えると、共和党支持者のフラッキングに対する意見の変化がいかに顕著なものかわかります。
ギャラップ社は、この1年での大きな変化の原因として、同社の調査で原発に反対するアメリカ人が急増したのと同じく、原油とガスが低価格で安定していることにより、多くの人が「わざわざ地球を掘らなくてもいい」と考えるようになり、さらに再生可能エネルギーを好む人が増えたためではないかと分析しています。
今年は1年を通してアメリカで初めて天然ガスによる発電量が石炭を超える年になりそうですが、世論による冷たい風当たりや、再生可能エネルギーへの投資が順調に増えていること、フラッキングが抱えている環境汚染や健康被害等の様々な問題、地震による被害が懸念されることなどを考慮に入れると、シェールブームもそんなに長くは続かないかもしれません。
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