2015年の桁違いの観測史上最高気温と、今年に入ってからの観測史上最も異常な暖かさをサポートしてきたエルニーニョ現象が、やっと終息を迎えようとしています。
1997-98年と2015-16年のエルニーニョ現象の比較
Credit: NASA
1997-98年のエルニーニョと比較すると、まだ赤道太平洋東岸(ペルー沖)の水温は下がりきっていませんが、海表面よりも深い海域の水温が下がってきており、それに伴って今後は海表面の水温も下がっていくと思われます。
Credit: International Research Institute
5月から6月頃にエルニーニョが終わると、その後は緩やかにエルニーニョとは逆の状態へと移行していき、秋にはラニーニャ現象が始まると予想されています。エルニーニョの後に必ずラニーニャが続くわけではありませんが、過去のデータを見ると、勢力の強いエルニーニョの後には必ずラニーニャが続いています。
では、ラニーニャ現象に移行すると、世界各地の気候はどのような影響を受けるのでしょうか?
Credit: NOAA
上の地図は、ラニーニャ現象発生時の冬(上)と夏(下)の気候の特徴を表したものです。日本の冬は、エルニーニョ時とは逆で、平年よりも気温が低くなります。
アメリカでは、エルニーニョ時には南西部から西部にかけて例年よりも涼しくて降水量が多い冬になるのに対し、ラニーニャ時は暖かくて乾燥した冬になる傾向があります。今回はそのエルニーニョ時の特徴があまり強く現れなかったため、歴史的な干ばつが続いているカリフォルニア州の状況を大きく改善させることはできずに終わり、これからラニーニャに移行すれば干ばつがまた深刻化すると予想されています。
秋以降にラニーニャが始まる確率が高くなってきていますが、正確な時期や規模の大きさについては現段階では予測できません。現在の科学では、エルニーニョとラニーニャを正確に予測するのはとても困難なのです。
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