Credit: Our Children's Trust
2015年に8歳から19歳までの未成年者が米連邦政府を相手取り、気候変動による影響の世代間の不公正をなくすための十分な措置をとらないのは違憲であるとした訴訟が予備審を通り、連邦下級裁判所での本格審査へと進みました。
この審査を巡っては、2016年3月に口頭弁論が行われ、米連邦政府に加えて化石燃料産業が異議を申し立てていました。
訴訟を起こした子どもたちは、現在と未来の世代の人々は平等に生命と自由と財産を守るための環境を保証されるべきで、連邦政府にはそのために管轄下の空や海などを含む天然資源を保護する義務があり、気候変動を深刻化させると約50年前から知っていながら化石燃料を使用し、温室効果ガスの排出を続けているのは違憲だと主張しています。
これに対し、米連邦政府はそのような義務を政府が負っていると憲法には書かれていないと反論、化石燃料産業は今回の訴訟を化石燃料ビジネスへの直接的な脅威であり、経済的損失によって社会に深刻な打撃を与えかねないと主張していましたが、判事は短期的な利益のために現在と未来の人々の人生に影響を与えていいのかどうかを裁判で問う必要があるとして、政府と化石燃料産業の異議を棄却し、下級裁判所の判断に委ねることになりました。
下級裁判所止まりになるだろうという見方が強いですが、今後は気候変動対策を巡り、このように未成年者が世代間の公正を求めて連邦政府を訴えるケースは増えるだろうと言われています。
訴訟に加わっている原告の1人である16歳のビクトリア・バレットさんは訴訟を起こした動機についてこう述べています。
「私たちの世代の未来は危機に瀕しています。私たちの世代をみんなは夢見る世代だと言いますが、私たちは希望以外の手段も持ち合わせています。私はティーンエイジャーだから、好きなことがしたいし、あらゆる機会に恵まれた人生を過ごしたい。今の世代と同じ機会を持つ世代でありたいんです。私は政府の被害を与える行為や、企業の強欲とそれを満たすために気候科学を否定する行為を断固として許しません。何がなんでも、世界を終わらせるつもりがないことを政府に見せるためにポジティブなエネルギーを使います。私たちの世代は、世界のための勢力であり続けます。」
【あわせて読んでほしい記事】
【参照】
この記事へのコメント