NASAも3月の世界平均気温は観測史上最高と発表

  日本の気象庁が2016年3月は観測史上最も暖かかったと発表したばかりですが、米航空宇宙局(NASA)も、2016年3月の世界平均気温が同月として観測史上最高を記録したと発表しました。

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1880年から2016年までの3月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における3月の平均気温の偏差。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。

  上のグラフは、NASAが公表している世界平均気温のテキストデータを基に、3月の世界平均気温の偏差の変化を表したものです。2016年3月の平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+1.29℃と、同月としては1880年の観測開始以来最高を記録しました。また、この+1.29℃という数値は、これまでのすべての月(1635ヶ月)の中で、2016年2月の+1.35℃に次いで史上2番目に大きな偏差になっています。つまり、私たちは「観測史上2番目に異常に暖かい1ヶ月」を過ごしたことになります。NASAのデータで偏差が+1℃を超えるのは、2015年10月から6ヶ月連続で、この6ヶ月間はそれぞれの月の観測史上最高記録を更新しています。さらに、今年に入ってから「観測史上最も異常に暖かい3ヶ月間」になっています。

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2016年3月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)
Credit: NASA

  2月の地図と比較しても大差は見られないのですが、エルニーニョが弱まってきているため、赤道太平洋付近の気温が下がってきています。また、北極圏とヨーロッパの異常に暖かい地域が小さくなってきているのが顕著ですが、逆に北アフリカとアラビア海の気温が上がってきているのが気になります。

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2016年3月の世界平均気温偏差の緯度別グラフ(基準は1951年から1980年。Zonal Meanの単位は℃。グラフ横軸の目盛りのマイナスは南半球、プラスは北半球)
Credit: NASA

  この緯度別の世界平均気温の偏差も、一見2月と大きな違いはありませんが、北半球の高緯度地域における偏差の最大値が2月は6℃近かったのに対して、3月は4℃台前半になっており、北極圏やヨーロッパの高緯度地域の異常な暖かさが落ち着いてきていることがわかります(落ち着いてもこの程度ですが)。

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1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)
Credit: NASA

  上のグラフは、今年に入ってから3ヶ月間の世界平均気温の偏差と、NASAのデータで最も暖かかった6年を比較したものです。気象庁やNOAAと同じく、今年に入ってからの3ヶ月間はの暖かさにはとにかく異常という言葉しか浮かんできません。
  NASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者であるギャビン・シュミット氏は、2016年の世界平均気温が2015年を破って観測史上最高を記録する確率は99%以上と予想するツイートを投稿しています。

  気象庁とNASAの発表が終わったので、あとは近日中にNOAAによる3月の世界平均気温のデータが発表されるのを待つだけになりましたが、観測史上最高を更新するのは間違いないでしょう。

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