人工衛星(UAH)(不確かな要素が大きいので参考程度ですが)、気象庁、そして米航空宇宙局(NASA)に続き、米海洋大気局(NOAA)の発表でも2016年3月の世界平均気温は、同月としての観測史上最高を記録しました。
2016年3月の世界平均気温の偏差(基準は20世紀)。単位は左側が摂氏、右側が華氏
NOAAによると、2016年3月の世界平均気温は12.7℃で、20世紀の平均気温よりも1.22℃高く、昨年を0.32℃上回って観測史上最高を記録しました。この+1.22℃という偏差は、前月(2016年2月)の+1.21℃を0.01℃上回り、観測開始以来1635ヶ月の中で最も大きな値となりました。私たちは「観測史上最も異常に暖かい1ヶ月」を過ごしたことになります。また、これで2015年5月から11ヶ月連続でそれぞれの月の観測史上最高記録を更新しています。
2016年を含むそれ以前の観測史上最も暖かかった8年の各月までの偏差(基準は20世紀の平均気温)の平均。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。
2016年1月から3月までの3ヶ月間における世界平均気温の偏差は+1.15℃と、昨年を0.28℃上回って観測史上最高を記録しました。今回と並んで史上最強レベルといわれるエルニーニョ発生時の1998年の記録を0.45℃上回っており、温暖化の影響を見ることができます。
また、この3ヶ月間の+1.15℃という偏差は、観測史上どの3ヶ月間よりも大きく、世界は最も異常に暖かい3ヶ月間を経験したことになります。そして、この「観測史上最も異常に暖かい3ヶ月間(観測史上最も平均気温との偏差が大きい3ヶ月間)」の記録は、昨年(2015年)の「7月から9月までの3ヶ月」以降、7ヶ月連続で更新されています。
これで主な気象機関のレポートが出揃いましたが、すべての機関のデータで3月は観測史上最も暖かく、そして最も暖かい3ヶ月になっています。エルニーニョの影響のピークは過ぎており、今後は緩やかにラニーニャへと移行していくと予想されていますが、NASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者、ギャビン・シュミット氏によると、2016年も世界平均気温が観測史上最高を記録する確率は現時点で99%以上と、まったく楽観的になることはできない状況のようです。
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