【独り言】アースデイが始まってからどれくらい気温が上昇しているのか調べてみた

  1970年から4月22日は「アースデイ」として定着し、今では世界中で様々なイベントが開催されるようになりました。

  今年(2016年)のアースデイはニューヨークの国連本部において、昨年国際合意を果たした「パリ協定」に175ヶ国が署名をした歴史的な日となりました。そのことについては別の機会に触れるとして、アースデイが始まってからこれまでに気温がどれくらい上昇したのか気になったので調べてみました。

  まず、日本の気象庁のデータベースで京都、名古屋、福岡、そして札幌と、主要都市における1970年から2015年までの、4月の平均気温の偏差を調べました(東京がないのは、なぜか気象庁のデータが欠落していたから)。偏差の基準年は1981年から2010年です。

福岡
April Temp Change 1970-2015 - Fukuoka.jpg
京都
April Temp Change 1970-2015 - Kyoto.jpg
名古屋
April Temp Change 1970-2015 - Nagoya.jpg
札幌
April Temp Change 1970-2015 - Sapporo.jpg
  福岡(偏差+2.9℃)、京都(+2.5℃)、名古屋(+2.5℃)、札幌(+2.9℃)と1970年以降の気温上昇が異常に大きくなっていますが、これはたまたま1970年が極端に涼しく、2015年が極端に暖かかったためにこのような偏差になっているだけで、実際はここまで激しい気温の上昇は見られません。

  一応、日本全体の同期間におけるデータも確認してみました。

April Temp Change 1970-2015 - Japan.jpg
Credit: 気象庁

  日本も同期間の偏差は+2.3℃と大きくなっていますが、仮に終点を2014年(-0.05℃)にすれば偏差は+1.16℃になりますし、2013年(-0.61℃)を終点にすると+0.55℃まで小さくなります。もしもアースデイが1973年(+1.02℃)に始まっていたとしたら、2015年の+0.09℃、2014年は-1.07℃、2013年には-1.63℃と、まるで日本は寒冷化しているかのようです。

  もしもアースデイが3月だったとしたら、1970年3月の偏差が-3.34℃で2015年3月の偏差が+1.11℃なので、46年間で4.45℃も気温が上昇していることになりますが、1970年3月のこの偏差は1970年以降で最も小さいため、このような極端に大きな偏差となります。

  こういう結果を見ても、都合のいい期間や地域をチェリーピックすれば、気温上昇を大きく見せることも小さく見せることもできるのがよくわかります。

April Temp Change 1970-2015 - World.jpg

1970年から2015年における4月の世界平均気温の変化(単位は左側が摂氏、右側が華氏)。基準は20世紀の平均気温。
Credit: NOAA

  世界に目を向けると、1970年以降、4月の平均気温は0.64℃上昇、10年あたりの気温上昇は0.16℃になっています。

Japan Annual Average Temp til 2015.pngGlobal Average Temp til 2015.png
Credit: 共に気象庁(日本 世界

  なお、さらに長期的な傾向を見ると、100年あたりで世界の気温が0.71℃上昇しているのに対し、日本は100年あたり1.16℃の気温上昇になっています。グラフの傾きを見ればわかると思いますが、20世紀後半以降、気温上昇のペースは加速しています。

  「パリ協定」への署名は行われましたが、温室効果ガス排出量を削減して気温上昇を抑えるためには、議論や文書への署名ではなく、国際社会による迅速な行動が求められています。

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