1997年から98年にかけて猛威を振るったエルニーニョと並べられる規模まで強くなり、世界各地で干ばつや豪雨などの被害をもたらした今回のエルニーニョ現象も勢いが衰え、いよいよ終息する時期がきました。
2016年2月17日から2016年5月4日までの赤道太平洋付近における海面温度の平均偏差(℃)
Credit: NOAA
ニーニョ3.4海域の海面温度の偏差は+0.8℃とかなり水温が下がってきました(エルニーニョ現象の基準は+0.5℃)。上のアニメーションを見ても、最も勢いが強かった時は真っ赤だったニーニョ3.4海域から太平洋東岸のペルー沖の色は薄くなり、偏差がプラスからマイナスへと変化しつつあり、エルニーニョからニュートラル状態、そしてラニーニャ現象が発生する兆しが見えます。
日本の気象庁は、エルニーニョ現象の終息とラニーニャ現象へ移行する見通しとして、「エルニーニョ現象は春の間に終息するとみられ、夏にはラニーニャ現象が発生する可能性が高い。」と発表しています。
Credit: CPC/IRI
米海洋大気局(NOAA)のClimate Prediction Center(CPC)とコロンビア大学のInternational Research Institute for Climate and Society(IRI)は、間もなくエルニーニョが終息し、今夏にラニーニャが発生する確率は52%、今秋から冬にかけてラニーニャに移行する確率は75%以上と予想しています。
Credit: NOAA
上の地図は、ラニーニャ現象が発生した際の影響をまとめたものです。ラニーニャ現象の詳細については記事にしたことがあるのでそちらを確認してもらうとして、今後どのようにラニーニャへと移行しラニーニャが発生した場合にはどれくらいの規模になるかについての要点は以下のようになります。
1. エルニーニョの後にラニーニャが続くとは限らない。
2. でも、強いエルニーニョの後には必ずラニーニャが発生する。← 今回はこれに該当
3. ただし、強いエルニーニョの後のラニーニャが強くなるとは限らない。
4. たぶん夏から秋にかけてラニーニャが発生するが、強くなるかどうかは誰にもわからない。
ちなみに、参考になるかどうかはわかりませんが、今回とほぼ同じ強さだった1997年から98年にかけてのエルニーニョの直後に発生したラニーニャ現象は33ヶ月続き、冬を3回超えました。
さて、今回はどうなることやら。
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