今年に入ってから3月まで、世界は過去最高の平均気温を更新してきましたが、米航空宇宙局(NASA)は、2016年4月の世界平均気温も同月として観測史上最高を記録したと発表しました。
1880年から2016年までの4月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における4月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
これは、4月の世界平均気温の偏差の変化を表したグラフです。2016年4月の平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+1.11℃で、同月としては1880年の観測開始以来最高を記録しました。また、この+1.11℃という数値は、これまでのすべての月(1636ヶ月)の中で、2016年2月の+1.35℃、2016年3月の1.29℃、2016年1月の1.14℃に次いで史上4番目に大きな偏差になりました。これで、2015年10月から7ヶ月連続でNASAのデータによる偏差は+1℃を超えており、その7ヶ月間はいずれもそれぞれの月の観測史上最高を更新しています。さらに、今年1月から4月までは、観測史上最も異常に暖かい4ヶ月間になっています。
(上)2016年4月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)
(下)2016年4月の世界平均気温偏差の緯度別グラフ(基準は1951年から1980年。Zonal Meanの単位は℃。グラフ横軸の目盛りのマイナスは南半球、プラスは北半球)
Credit: 上下共にNASA
世界地図(上)と緯度別の世界平均気温の偏差(下)を見ると、今年に入ってからの3ヶ月間と比較して、北極圏の異常な暖かさが緩和してきたことがわかります。また、グラフを見ると北極圏以外の北半球の高緯度地域が異常に暖かいような印象を受けますが、グラフの上限が3.5℃までしかなく、直近3ヶ月よりも偏差は小さくなっています。それでも、偏差が+3℃を超えるのは異常な暖かさと言えます。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)
Credit: NASA
これは、今年の1月から4月の世界平均気温の偏差と、NASAのデータで最も暖かかった6年を比較したグラフです。4月の観測史上4番目に大きな偏差を加えても、今年に入ってからの偏差の平均が下降するのは極めて異常です。
With Apr update, 2016 still > 99% likely to be a new record (assuming historical ytd/ann patterns valid). pic.twitter.com/GTN9sPL2D7
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) May 14, 2016
先月も今年の世界平均気温が2015年を上回って観測史上最高になる確率が99%以上と予想した
NASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者であるギャビン・シュミット氏が、今月のデータを加えてもまだ99%以上の確率で過去最高を更新するとツイートしています。
夏以降にラニーニャが発生すれば後半の平均気温は下がると思われますが、この4ヶ月間を帳消しにするほど急激に涼しくならない限り、昨年(2015年)の過去最高を上回ることになるでしょう。
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