米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気局(NOAA)、そして日本の気象庁の観測データでは、今年(2016年)に入ってから4月まで連続して世界の平均気温は観測史上最高を更新してきました。エルニーニョ現象が終息を迎えたこともあり、5月の平均気温がどれくらい低くなるのかに注目が集まっていましたが、NASAの発表したデータによると、2016年5月の世界平均気温も同月としては観測史上最高を記録しました。
1880年から2016年までの5月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における5月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
このグラフは、1880年以降の5月の世界平均気温の偏差を表したものです。5月の平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.95℃で、同月としては2014年の+0.86℃を0.09℃上回り、観測開始以来最高になりました。
2016年5月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)
Credit: NASA
2015年10月から続いていた+1℃以上の偏差は途切れましたが、これで2015年10月から8ヶ月連続で各月の観測史上最高を更新しています。また、今年の1月から5月までは、観測史上最も異常に暖かい5ヶ月間になりました。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)
Credit: NASA
このグラフは今年1月から5月までの世界平均気温の偏差をNASAのデータで最も暖かかった6年と比較したものですが、5月がこれまでの4ヶ月よりも涼しくなったとはいえ、昨年の記録と比較するとまだまだ異常な暖かさになっています。
エルニーニョが終息してラニーニャ現象が始まる兆候が見られ、また、1880年以降のすべての月の中で観測史上最も大きな偏差を記録した今年2月と比較して3月の偏差は0.05℃小さくなり、4月には3月よりも0.19℃小さく、5月は4月よりも0.16℃小さくなっており、4月や5月と同じくらい気温が下降すると仮定した場合、6月の世界平均気温は観測史上最高を更新しないかもしれません(6月の過去最も大きな偏差は2015年の+0.77℃)。
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